北埔住民の心の拠り所である慈天宮
新竹県の北埔は客家系住民が多く暮らしている小都市。客家系住民とは今から二、三百年前に中国大陸から台湾に渡ってきたエスニックグループです。彼らは台湾の人口の大半を占めるホーロー人よりもやや遅れて移入してきたため、山間や山麓部に暮らすことを強いられました。このため、山間部に暮らす原住民族との間で争いが絶えなかったと言われます。ここ北埔も例外ではなく、この地を開拓した姜秀鑾氏は人々が安全に暮らせるよう、神様のご加護を求めて慈天宮を建てたと言われます。創建された当初は小さな祠でしたが、その後、何度も修復工事が行なわれました。現在は国家三級古蹟に指定されています。また、当初祀られていたのは姜秀鑾氏が中国大陸から持ち込んだ観音菩薩のみでしたが、その後、航海の女神である媽祖をはじめ、複数の神様が祀られるようになりました。今も昔と変わらず地元の人々の信仰の中心となっています。門前通りには食堂やみやげ物屋などが軒を連ね、ちょっとした賑わいを見せています。