台湾に残る最後のサトウキビ列車
台湾はかつて「砂糖の島」と呼ばれるほど、製糖産業が盛んな島でした。特に中南部では、一面に広がるサトウキビ畑が印象的な光景として親しまれてきました。こういった畑で栽培されたサトウキビを運ぶのは長らく製糖鉄道でした。軌間762ミリの小さな鉄道ですが、かつては網の目のような路線網を誇っていました。オランダ統治時代にもたらされたという台湾の製糖産業ですが、日本統治時代に各設備が整備され、飛躍的な発展を遂げました。戦後も台湾経済を支える産業として君臨し、1960年代に最盛期を迎えました。しかし、砂糖の価格暴落と国際競争力の低下で衰退を強いられ、現在はサトウキビの運搬列車も虎尾を残すのみとなってしまいました。それでも12月から3月までの期間、一日3往復程度走ることがあり、多くの鉄道ファンが集まってきます。台湾らしさが感じられる風物詩として人気があります。