2024年の外交活動、「総合外交で民主主義・平和・繁栄の台湾を築く」=外交部
2024年を振り返ると、▽世界情勢の急速な変化▽地政学リスクの依然とした高まり▽民主主義と権威主義の明らかな対立▽膠着状態が続くロシア・ウクライナ戦争による中東、南シナ海、朝鮮半島から第一列島線に至るまでの情勢不安定化など悪の枢軸の連携が、世界にもたらす深刻な課題を浮き彫りにしている。
台湾においては、1月13日に第8代正副総統選挙を無事に終え、民主主義の発展過程のマイルストーンとなった。台湾海峡の情勢は、引き続き国際社会から高い関心が寄せられ、インド太平洋地域は、世界戦略の中核となっている。これらの動向は、台湾の国家安全保障と国益に関係している。
以下は、外交部が30日に発表した2024年外交活動および2025年の展望。
一、「総合外交」の推進
外交部は在外公館の職員と共に、強靭さと自信を持って台湾の主権、尊厳、利益および市民の権利と利益を守るためにあらゆる努力を払っている。過去8年間に築き上げた「踏実外交(堅実な外交)」という優れた基礎の上に、今後は「総合外交」を推進する。頼清徳新政権の「総合外交」では、価値外交という理念、経済日不落国(直訳すると、経済の日が沈まない国という意味。経済上の最大限の優位性を保つこと)というビジョンを戦略的に実行し、「民主主義」、「平和」、「繁栄」の三本柱で、積極的にパートナーシップ深化に努めている。国交樹立国や理念を同じくする国々との相互利益を実現し、インド太平洋地域の安定と繁栄における重要な力、そして世界の自由と民主主義のモデルとしての台湾の貴重な価値を最大限に発揮する。
二、民主主義のロールモデルに
台湾は、謙虚でも傲慢でもなく、自信と沈着さを持ち、世界の民主主義陣営と協力して権威主義の脅威に対処している。
・権威主義の拡大に直面している台湾のレジリエンス
・世界で頻発する人道危機への支援における積極的な貢献
・台湾の強みを生かして、国交樹立国や理念を同じくする国々との共存共栄を達成するという概念
これらは国際社会において明々白々で、広く高い評価を受けている。
三、頼総統の初外遊
台湾の市民の支持を得て、外交部と在外公館は、頼総統が国交樹立国を訪問するよう全力を尽くしている。頼総統は11月から12月にかけて、国交樹立国のマーシャル諸島、ツバル、パラオの太平洋の島しょ国3カ国を訪問した。「オーストロネシア地域の繁栄のため、スマートでサステナブルな発展を」として向かった初外遊では、代表団を率いて、「スマート&サステナブル」、「サステナブルな民主主義」、「国交樹立国とのサステナブルな友好」の3つの目標について確認することができた。また経由地として米国ハワイやグアムに立ち寄った。この外遊を通じて、国際社会から台湾に対する支持を集めることに成功し、台湾と友好国との関係深化だけでなく、価値外交の新時代を切り開くなど実りある成果を上げた。
四、林佳龍外交部長によるラテンアメリカおよびカリブ海地域、欧州訪問
林部長は10月、総統特使として派遣され、セントビンセント及びグレナディーン諸島の独立45周年式典に出席した。並びに、グアテマラ、セントルシア、ベリーズ、セントクリストファー・ネービスも歴訪し、価値外交と経済貿易外交の成果を確認し、二国間協力の強固な基盤に基づく協力関係を深めた。さらに林部長は11月、ベルギーの欧州議会をはじめ、リトアニアやポーランドなど欧州各国を歴訪し、台湾・EU(欧州連合)の民主主義同盟との協力を深め、経済・貿易の連結を強化した。
五、台湾に対する海外からの支持の高まり
友好国から台湾に対する支持は今年、再び最高水準に達した。台湾は1月に総統選挙を無事に終え、世界100カ国以上の1,600人以上の政治家から祝意が寄せられた。重要な成果は、盤石な台米関係、台欧関係の継続的な向上、安定した台日友好関係など堅固な友好関係に表れている。台湾の国交樹立国や理念を同じくする国々は、台湾の国際参加に対する支持を公の場で発言し、「台湾海峡の平和と安定維持の重要性」が国際的なコンセンサスとなっていることを改めて表明した。さらに、台湾による民主的価値観の擁護、人道支援の提供、多大な貢献をもたらす善良なパワーを称えた。台湾もまた、パブリック・ディプロマシーの推進、支持を得るための国際社会に対する積極的な発言、省庁間および部門間の資源を統合するなどソフトパワーを発揮し、総合的な外交力を強化している。そのほか、各国のビザやデジタルガバナンスなど領事の便宜措置に努めるとともに、各国との緊密な人的交流を促進していく。
六、「栄邦計畫」の推進
国交樹立国や理念を同じくする国々との実質的な関係を深める「栄邦計画」推進に努めている。そのうち、頼新政権の経済政策「5大信頼産業(半導体、AI、軍事産業、セキュリティー産業、次世代通信)推進方案」に基づいた八大旗艦計画は、▽半導体サプライチェーンのレジリエンス▽信頼できるネットワークとデジタルガバナンス▽新エネルギーと排出権取引▽スマートサイエンスパークの海外拠点モデル▽スマート医療・ヘルスケア産業▽新スマート農業▽ソブリンAI▽サステナブルツーリズムをテーマとした。台湾の産業の強みを活用して各省庁の資源を統合し、スマートソリューションを通じて、友好国の産業の繁栄と発展を推進、民主主義国によるサプライチェーンを強化していく。国が安定する「固邦」だけでなく、国が栄える「栄邦」の目標に向けて進む。
七、「台湾の新世界、世界の新台湾」
「台湾における新たな世界、世界における新たな台湾」とは、外交部が外交活動を推進する使命だけでなく、全市民が結集し、様々な関係機関が調整することによって生み出された成果でもある。そのため外交部は、行政院(内閣)が推進する「経済外交業務グループ」を支援し、同グループの研究やスタッフが進める「戦略部門」の責任を負い、このプラットフォームを通じた省庁間のリソースを効果的に統合している。「人人都是外交官、部部都是外交部(誰もが外交官、どの省庁も外交部)」の理念を持って、外交部は今後も、市民がそれを実感できるよう、サービスの効率と質を向上させ、台湾および台湾の人々の尊厳と権益、生存と発展のために尽力する。台湾の強みを生かして世界に歩み出し、科学技術、人権、文化、都市、議会、医療・公衆衛生、環境、スポーツ、先住民族、宗教、ジェンダーなど多様なテーマの外交政策を推進する。台湾が果たす重要な役割について、国際社会の認知度を高め、各界からの台湾の外交活動に対する期待に応える。
八、2025年の決意
地政学リスクは新たな局面を迎えつつある。そこで外交部は、自信、レジリエンス、専門的かつ柔軟な姿勢で新たな情勢を捉え、強みを生かして困難を克服し、民主主義、平和、繁栄の価値観に基づき、各方面の外交力を統合する。引き続き国際社会に貢献し、頼総統が進める価値外交の理念と経済日不落国の実現を目指す。「Taiwan Can Help」、「Taiwan Can Lead」の実力を発揮し、台湾が世界で輝き続けられるよう全力を尽くす。
Taiwan Today:2024年12月31日
写真提供:外交部
外交部は30日に発表したニュースリリースで、2024年の台湾外交を振り、2025年の決意を語った。