頼清徳総統、「主権があるから国があり、台湾があるから中華民国がある」
頼清徳総統は3日、中国進出する台湾企業が主催する春節(旧正月)のイベントに出席した際、蔡英文前総統が提唱した「(中国に対する)4つの堅持」と自身が提唱する「平和のための4つの支柱アクションプラン」に言及し、「対等と尊厳」を原則とし、条件を設けないことを前提として、中国と健全かつ秩序ある交流を促進する意向があることを強調した。
頼総統は3日、「2025大陸台商春節活動」(中国進出する台湾企業が主催する春節イベント)に出席した際、総統としての「3つの使命」について述べた。頼総統はそのうち第一の使命として、国家の生存と発展を維持することを挙げ、「主権があるから国があり、台湾があるから中華民国がある」と強調した。また、蔡英文前総統が提唱していた「4つの堅持」を継承することを明言した。「4つの堅持」とはすなわち、(1)自由と民主主義に基づく憲政体制を永遠に維持すること、(2)中華民国(台湾)と中華人民共和国は互いに隷属しない、(3)台湾の主権への侵犯・併呑を許さない、(4)中華民国(台湾)の未来は2,300万人の台湾人によって決定されるべきである―の4点である。
頼総統は第二の使命として、全国民の生命と財産の安全を守ることを挙げ、その目標は「平和の達成」であると指摘した。また、「平和はプライスレスで、戦争に勝者はいない」と指摘する一方で、「平和には理想が必要だが、幻想を抱いてはならない」と訴えた。頼総統はそのために、自身が提唱する「平和のための4つの支柱アクションプラン」を実行していくことを約束。その具体的な行動として、(1)国防予算の引き上げによる国防力の増強、(2)経済の発展。ただし、経済は良好であれば良いわけではなく、強靭性(レジリエンス)を持たせる、(3)民主陣営と肩を並べて立ち、戦争に備えることで戦争を回避する、(4)「対等と尊厳」を原則とし、条件を設けないことを前提として、中国と健全かつ秩序ある交流を促進する―ことを説明した。
第三の使命として頼総統は、台湾に住む2,300万の人々の生活を守ることを挙げた。頼総統はこれについて、「蔡前総統の任期中に労働者の最低賃金は何度も引き上げられた。自分も総統に就任して1年目に最低賃金を引き上げ、現在の最低賃金は2万8,590台湾元(約13万4,553日本円)になっている。また、軍人・公務員・教員の賃金も引き上げられた。蔡前総統は任期の最後の年に4%引き上げたが、政府は今年も3%の賃上げを実施する。統計によると、今年は多くの民間企業が賃上げを予定している」と説明。台湾の経済が全体的に成長し、官民の両方で賃上げが行われることで社会が活性化し、内需が好転し、良い循環が生まれることになるだろうと期待を寄せた。
頼総統は賃上げに加えて、政府が再度減税に踏み切ることも説明。例えば年収44万6,000元(約209.9万円)以下の独身者や、世帯年収89万2,000元(約420万円)以下の共働き家庭、6歳以下の未就学児2人がいる4人家族で世帯年収146万1,000元(約687.8万円)以下の共働き家庭は非課税となる。
また、総統は社会的支援の拡大についても説明した。例えば「0-6歳国家一起養」政策(0~6歳までの児童手当・託児手当を増額する政策)で若い夫婦の経済的負担を軽減し、「長照3.0」政策(介護手当等を増額する政策)で高齢者や障害者に対する支援を強化していること、それに普通高校・職業高校の学費免除や、私立大学の学費・雑費補助などの政策を紹介。加えて「青年百億海外円夢基金計画」(100億元規模の基金夢をかなえる若者を支援する計画)も開始し、15歳から30歳までの若者が海外に出て夢を追いかけることを奨励していることなどを説明した。そして、「皆の努力によって台湾の経済をこれからも成長させよう。そうしてこそ政府は中小企業や弱者世帯、若者を支援することができる」と呼びかけた。
最後に頼総統は、「皆が一丸となって努力し、国家のために頑張って欲しい。国家安泰、五穀豊穣、無病息災、商売繁盛、家内安全を祈願したい。最近台南や嘉義で地震が続いているが、新しい一年、台湾に災害が訪れず無事であることや、台湾の安全、インド太平洋地域の安定、世界の平和を願いたい」と述べた。
Taiwan Today:2025年2月4日
写真提供:総統府
頼総統は3日、「2025大陸台商春節活動」(中国進出する台湾企業が主催する春節イベント)に出席した際、総統とし ての「3つの使命」について述べた。