頼清徳総統が「中国は境外敵対勢力」と指摘、中国の5大脅威とそれに対する17項目の対策を説明
頼清徳総統は13日、安全保障に関わる閣僚らを集めた「国安高層会議」(国家安全保障に関するハイレベル会議)を招集するとともに、中国の統一工作やスパイ活動の浸透への対応を説明する記者会見を開いた。
頼清徳総統は記者会見で、中国はすでに台湾にとって「境外敵対勢力」になっていると指摘した上で、中国の台湾に対する脅威を「国家主権に対する中国の脅威」、「台湾軍に対する中国の浸透とスパイ活動の脅威」、「台湾の人々の国家アイデンティティを混乱させようとする脅威」、「両岸交流を口実に中国籍の人が台湾社会で統一工作を浸透させようとする脅威」、「『融合発展』を口実に台湾企業や台湾の若者を取り込もうとする脅威」の大きく5つに分類。さらに、これらの脅威への台湾の対策として17項目を挙げた。
頼清徳総統は、北京当局が近年、台湾人に対対して中国での「居住証」、「定住証」、「身分証」などの申請を促し、これによって台湾人の国家アイデンティティを混乱させようとしていることや、「両岸交流」を口実に台湾に統一工作を仕掛け、台湾の内部分裂を企て、台湾の政府の公権力を無力化し、中国が台湾を「統治」しているという誤った印象を作り出そうとしていることなどを批判した。
頼清徳総統はさらに、「このような中国は、わが国の『反浸透法』が定義する『境外敵対勢力』である」と断言。「我々にはより積極的な行動をとるよりほかに選択肢はない」として、関連の対策について説明した。
そのうち、「台湾軍への中国の浸透」への対策として頼清徳総統は、軍事裁判制度を復活させる考えを明らかにした。また、「国家アイデンティティを混乱させようとする脅威」への対策としては、とりわけ国家への忠誠が義務付けられる軍人、公務員、教員を中心に、引き続き中国の身分証取得の有無について調査を行うと説明した。中国人に対しても同様に、台湾での定住を申請する場合、中国の戸籍及びパスポートを放棄することを求め、台湾と中国の両方で公民としての身分を持つことを厳しく禁じる考えを示した。
中国が「両岸交流」を口実に台湾への統一工作を進めることに対しては、統一工作の背景を持つ中国人の入国を厳しく制限することや、台湾人芸能人の中国での活動についても指導や管理を強化する考えを示した。また、中国人が台湾で統一工作の性質を持つ活動に参与することを禁止し、台湾の公務員や地方議員、立法委員(国会議員)、村長や里長など、各レベルの公職者が中国を訪れて交流を行う場合はその情報を公開すること、宗教団体や慈善団体についても中国と交流を行う場合はその内容を明らかにすべきである、などの考えを示した。
また、中国が「融合発展」を口実に、台湾企業や台湾の若者を取り込もうとしていることについては、台湾と中国の経済・貿易関係について戦略的な構造調整を行い、中国の台湾に対する経済・貿易分野での統一工作や経済制裁などに効果的に対処すると強調した。また、台湾の青年層に対して、中国を理解するための教育を一層強化し、両岸交流についての正しい認識を広げていく方針などを示した。
Taiwan Today:2025年3月14日
写真提供:総統府
頼清徳総統は13日、安全保障に関わる閣僚らを集めた「国安高層会議」(国家安全保障に関するハイレベル会議)を招集するとともに、中国の統一工作やスパイ活動の浸透への対応を説明する記者会見を開いた。