台湾の国民健康保険制度について
台湾の国民健康保険は1988年に準備計画委員会が設立され、「全民健康保険法」および「中央健康保険局組織条例」の制定を経て、1995年3月に正式にスタートした。同制度は2007年にいたるまで医療界と国民の協力の下ですでに安定し、13年目に入った。今回、この国民健康保険制度を主管する中央保険局は「全国民加入 健康保険の永続」と題する小冊子を発行し、台湾の国民健康保険制度について紹介を行った。以下はその要旨である。
○ ○ ○
● 国民健康保険の基本理念:
・ 社会の公平を促進
・ サービス効率の増進
・ 医療のレベル向上
・ 国民のコンセンサス凝集
医療保険は国民生活における最も基本的なニーズであることから、全国民の健康増進のために、医療保険サービスを提供することが、国民健康保険制度を推し進める主旨と目的である。さらに、この国民健康保険が順調に発展し、所期の目的を達成するには、被保険対象者全員、雇用主、医療サービス機構の支持と協力が必要であり、そうしてこそこの3者が共に恩恵を受ける健康保険制度を構築することができるのである。
国民健康保険制度は強制加入の社会保険に属し、その主旨は全国民が保険費用を納付し、平等な医療サービスの権利を得られるようにするというものである。規定では、中華民国の国籍を持ち、台湾で戸籍を設け4カ月以上の人(台湾で出生した新生児は戸籍に出生登録すると自動的に加入)は国民健康保険に加入しなければならない。
中華民国の国民以外にも、国民健康保険法の規定に合致および主管する機関が交付した居留認可を受けた外国人(香港、マカオ、大陸あるいは外国籍を含む)は、一定の雇用主に雇用された者が雇用日より国民健康保険に加入する以外に、居留証明がある者は、居留期間が満4カ月目から国民健康保険に加入し、それにより自身の医療についての権利が保障されることになる。
全国民に対し便利で完全な医療サービス網を提供するため、国民健康保険による医療サービスは疾病および負傷で必要とする西洋医、東洋医、歯科医、入院医療サービス、家庭介護、精神疾患リハビリ、分娩などの項目を含め、最も完全な医療看護で、国民の異なった医療ニーズを満足できるよう願うものである。
●全国民の健康保険費納付を実行
現在、受刑者以外、全国民は保険システムに入っており、2007年6月末時点での国民健康保険加入者総数は、2,245万8,789人で、保険機関は66万5,613団体である。
●国民健康保険の本人およびその家族の主な自己負担比率
第一類 公務員、志願役軍人 3割負担
私立学校教職員 3割負担
一定の雇用主に雇用された被雇用者 3割負担
自営業者など 全額負担
第二類 職業工会会員など 6割負担
第三類 農民、漁民、水利会会員 3割負担
第四類 徴兵軍人、軍校学生など 医療費免除
第五類 低所得家庭 医療費免除
第六類 退役軍人とその家族 医療費免除(本人)
3割負担(家族)
第一類の健康保険は雇用主が被雇用者の毎月の給与所得から等級別に合わせ徴収する。
●外来における医薬品の一部負担について
医薬品代 本人負担額
100元以下 0元
101~200元 20元(約70円)
501~600元 100元(約350円)
901~1000元 180元(約630円)
●入院における医療費用の一部負担について
急性疾病病棟 30日以内 10%負担
31日~60日 20%負担
61日以降 30%負担
慢性疾病病棟 30日以内 5%負担
31日~90日 10%負担
91日~180日 20%負担
181日以降 30%負担
2007年において、同一疾病では入院一回につき、2万6,000元(約88,000円)、年間では4万4,000元(約154,000円)を上限としている。
【2008年6月 中央健康保険局】