印での中華民国軍共同墓地、中国大陸が観光地への変更を強要か

　インドのメディアが報じたところによると、中国大陸側の馬占武駐コルカタ「総領事」ら「政府」関係者5人が12日、同国ジャールカンド（Jaharkhand）州にある中華民国駐インド軍ランガルー（Ramgarh）共同墓地を訪れて、ランガルーの職員と面会した。馬占武氏は、中国大陸側はジャールカンド州に対し、ランガルー共同墓地を観光地に改めるよう正式に要求したと述べたという。

　これに対し、中華民国（台湾）の田中光駐インド代表（駐インド大使に相当）は、ランガルー共同墓地に埋葬されている中華民国軍の兵士たちはいずれも中華民国の国民で、中華民国政府がインドにおけるイギリス軍を支援するために派遣した兵士たちだと指摘、共同墓地の建設、維持、管理は全て中華民国政府がインド政府の同意を得て行っており、これらはいずれも事実であり、改ざんや歪曲は許されないと主張した。

　田中光駐インド代表は、中華民国政府は歴史を尊重し、史実を理解する各界の人々がランガルー共同墓地で中華民国軍の英霊に敬意を表し、歴史に思いを馳せるのを歓迎するとした上で、ランガルー共同墓地の現状を変更するには同墓地を建設し、地上物を所有し、管理している中華民国政府と協議し、その同意を得ることが必要だと説明した。そして、中国大陸側がインドの地方自治体に、同墓地を観光地とするよう提案したことは、共同墓地の荘厳な歴史的意義を貶めるもので、大変不適切だと批判した。

　第二次世界大戦で中華民国は米国、イギリスと同盟を結び、「中国遠征軍」を組織してミャンマーで戦った。1942年8月、遠征軍の一部はインドのランガルーに移動し、「中国駐印軍（中国駐インド軍）」と改称した。

　中華民国駐インド軍ランガルー共同墓地は面積約2.3ヘクタール。墓標と無名兵士の墓が200あまり残っている。被葬者のうち階級が最も高いのは少将、最も低いのは上等兵。姓名の確認できる40人を含む667人の遺体が埋葬されている。ランガルー共同墓地はジャールカンド州の州都、ラーンチー（Ranchi）から車で約2時間の郊外にある。ラーンチーはコルカタの西320㎞あまりに位置する。

　ランガルー共同墓地は1944年12月に中華民国軍の鄭洞国将校によって建てられた。そして誰も管理しなかったため荒れていた同墓地を中華民国政府が整備し、1982年に完成。名称は「印度蘭伽中国抗日遠征軍烈士公墓（インド・ランガルー中国抗日遠征軍烈士共同墓地）」で、後に「中華民国駐印軍蘭伽公墓（中華民国駐インド軍・ランガルー共同墓地）」に改められた。2011年には国防部（日本の防衛省に相当）が特別案件として経費を拠出し、12月に修繕を終えた。中華民国駐インド代表処は毎年春と秋に職員を派遣して慰霊祭を行っている。

Taiwan Today：２０１８年１月１６日

写真提供：外交部
　中国大陸側がインドに対し、中華民国駐インド軍ランガルー共同墓地（写真）を観光地に改めるよう求めているもよう。中華民国の駐インド代表は、歴史的意義を貶めるものと批判している。