国立台湾歴史博物館、神像をメインにした特別展

　国立台湾歴史博物館（台湾南部・台南市定安区）は現在、神像をメインとする特別展「神界・人間：台史博館蔵神像特展」を開催している。通常神像と言えば宗教的な色彩が強いが、同博物館では参観者がこうした観念を捨て、伝説、工芸、歴史、美学といった多元的なアプローチから、神像がたどってきた歴史と台湾の民間信仰の発展について見直すことを期待している。

　同博物館は開館以来、博物館が買い付けたり、市民からの寄贈を受けたりしたものを含め、1,000体に上る神像を所蔵している。2016年には民間の収蔵家2名から相次いで大型の神像の寄贈を受けた。

　同博物館では、こうした神像の保存やメンテナンスを行い、展示しているほか、国立台南芸術大学（台南市官田区）などの協力を得て、神像の修復作業も順次行っている。近年は科学技術を用いた検査や応用など、新たな機器や技術を導入し、神像の保存修復により多くの選択肢を提供している。また、歴史や文化など専門分野を超えた総合的アプローチに対しても、より多くの素材を提供している。同博物館は今回の特別展を通して、こうした成果を来場者と分かち合いたいと考えている。

　特別展は「成神之前（＝神像が出現するまで）」、「常民信仰与文化（＝民間信仰と文化）」、「走入人間遇見神像（＝人間界に下りた神像）」の3つのエリアに分けられている。最初の「成神之前」では、本来無形だった神のイメージが形成、分類され、伝統工芸の技術によって有形の神像が作られるまでを振り返る。また、神聖な儀式の変遷によって、いかにして神像が信仰の対象として崇められるようになったかを知ることができる。

　続く「「常民信仰与文化」のエリアでは、社会の変遷と先住民族の信仰、地縁社会と特定の業界における信仰、現実や功利を求める現代信仰の3つのサブテーマを通して、先住民族の信仰や中国大陸から持ち込んだ神像を、漢民族が台湾の土地に根付かせていった過程を振り返る。また、神像のタイプや祭祀の方法などから、民間信仰が社会の変遷、各時代における異なる生活のニーズに応じて、さまざまな変貌を遂げてきたことを知ることができる。最後の「走入人間遇見神像」では、祭祀の対象から外れた神像が、芸術品や収蔵品として取り扱われている様子について紹介する。

　この特別展は今月9日から国立台湾歴史博物館4階の第二特展室で開催されている。開催期間は8月26日まで。

Taiwan Today：２０１８年１月１７日

写真提供：国立台湾歴史博物館公式サイトより
国立台湾歴史博物館（台湾南部・台南市定安区）は現在、神像をメインとする特別展「神界・人間：台史博館蔵神像特展」を開催している。開催期間は１月9日から8月26日まで。