海外の学者・専門家44名、台湾住民に宛てた公開状
米国の中国研究の第一人者であるニューヨーク大学のジェローム・コーエン教授、米国の対台湾窓口機関、米国在台湾協会(AIT)台北事務所でかつて所長(=駐台大使)を務めたウィリアム・スタントン氏やステファン・ヤング氏を含む世界各国の学者・専門家44名が8日、台湾住民に宛てた公開状を連名で発表した。
公開状は中国語版と英語版があり、中国語版には「民主主義を享受する台湾住民、頑張れ!」の副題が書かれている。概要は以下のとおり。
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ここに名前を連ねている学者、元政府関係者、その他の台湾を応援する友人たちは、過去数十年にわたる台湾の民主化を目撃し、そしてそれを称賛してきた。この公開状は、台湾の歴史を左右する肝要なこの時期に、台湾住民は一致団結すべきであると呼びかけるものである。
過去2年間、中国は手段を選ばず、国際社会において台湾の生存空間を圧迫し、軍事力の拡充によって脅威を高め、そして権威体制の中国に呑み込まれることだけが、台湾にとって唯一の未来であると印象付けようとしてきた。こうした圧力は、中国の習近平国家主席が今月2日に行った談話によって最高潮に達した。習近平国家主席はこの談話で、台湾問題は中国の内政問題であり、「一国二制度」で中台統一を果たすことこそが、今後唯一の選択肢であるとの考えを表明した。
これに対して台湾の蔡英文総統は、圧倒的多数の台湾住民は「一国二制度」に強く反対していると主張する談話を発表した。蔡総統が主張する「台湾コンセンサス」とは、「4つのすべき」に基づく。それは、中国は中華民国台湾が存在する事実を受け入れるべきである、自由と民主主義を守ろうとする台湾住民2,300万人の意思を尊重すべきである、などを含むものである。
我々は、中国の圧力に抵抗し、民主主義体制を守ろうとする台湾住民の勇気ある態度を称賛する。しかし一方で、北京当局が詐欺やフェイクニュースという強い破壊力を持ったテクニックを駆使し、台湾の内部分裂や混乱を引き起こす要因を作り、それを台湾への武力行使の口実にすることを懸念している。
台湾の存亡はいま、まさに中国の脅威にさらされている。台湾はほかの民主体制と同様、解決しなければならないさまざまな内政問題を抱えている。しかし、自由と民主主義を享受する国家の存亡がより大きな脅威にさらされているいま、民主的プロセスは国民の一致団結を損なわない方法で進められるべきである。もし、政治的立場の違いのために、この脅威を理解できない台湾住民がいるとしたら、北京当局の抑圧的な指導者はこれを台湾社会分裂のチャンスととらえ、台湾が中国に併呑されることは徐々に避けられなくなるだろう。
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この公開状は、米国のシンクタンク「国際評価戦略センター(IASC)」の「Future Asia Project」責任者John Tkacik氏、かつてAIT台北事務所の所長を務めたウィリアム・スタントン氏やステファン・ヤング氏、ニューヨーク大学のジェローム・コーエン教授、デンマークの組織「Taiwan Corner」の責任者Michael Danielsen氏、オーストラリアの学者であるBruce Jacobs氏、英ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)のMichael Rand Hoare教授など、世界各国の学者、専門家44名が連名で発表した。英語の全文はこちら。
Taiwan Today:2019年1月9日
写真:『TAIPEI TIMES』より
米国の中国研究の第一人者であるニューヨーク大学のジェローム・コーエン教授、米国の対台湾窓口機関、米国在台湾協会(AIT)台北事務所でかつて所長(=駐台大使)を務めたウィリアム・スタントン氏やステファン・ヤング氏を含む世界各国の学者・専門家44名が8日、台湾住民に宛てた公開状を連名で発表した。写真は台湾の英語日刊紙『TAIPEI TIMES』のスクリーンショット。