蔡総統、パラオとナウルとマーシャル諸島の3か国歴訪へ
総統府は12日午前に記者会見を開き、蔡英文総統が3月21日から代表団を率いて、太平洋に位置する国交樹立国であるパラオ共和国とナウル共和国を公式訪問するほか、マーシャル諸島共和国で開催される国際会議に出席することを明らかにした。
蔡総統が太平洋の国交樹立国を訪れるのは、2017年に「持続可能なオーストロネシア語族の島々と手を携えて共栄を図る 太平洋国交樹立国歴訪の旅」と名付け、マーシャル諸島、ツバル、ソロモン諸島の3か国を訪問して以来のこと。蔡総統はその後も、太平洋の国交樹立国を再度訪問し、これらの国々の国家元首からの来訪要請に応えたいと希望していた。
パラオのトミー・レメンゲサウ(Tommy Remengesau, Jr.)大統領は昨年11月、訪問団を率いて台湾を訪れた際、蔡英文総統と会見した。その際、蔡総統に対してパラオ訪問を再要請した。ナウルのバロン・ワカ(Baron Waqa)大統領も今年1月に台湾を訪問した際、蔡総統に自ら招待状を手渡し、ナウル訪問を要請していた。蔡総統は、太平洋に位置する国交樹立国を重視する台湾の立場を示し、且つ太平洋諸国との結びつきと友好関係を深めるため、3月21日から訪問団を率いてパラオとナウルを公式訪問することを決めた。
外交部(日本の外務省に相当)の徐斯儉政務次長(=副大臣)によると、太平洋にある島国で最初の女性の国家元首となったマーシャル諸島のヒルダ・ハイネ(Hilda C. Heine)大統領は、大統領就任以来、女性のエンパワーメントを積極的に推進している。マーシャル諸島は3月26日に第1回目となる太平洋の女性リーダーを集めた会議を開催することになっており、そこに同じ女性の国家元首である蔡総統を「特別ゲスト」として招待したいと打診していた。このため蔡総統は、女性をテーマにした議題を重視する立場を示し、且つヒルダ・ハイネ大統領への支持を表明するため、パラオとナウルの公式訪問を終えた後、マーシャル諸島を訪れて会議に出席することを決めた。
徐次長によると、今回の外遊のテーマは「海洋民主の旅」。太平洋とこれらの国交樹立国や太平洋の島国との間には、少なからぬ共通点がある。第一の共通点は「海洋」で、いずれも四方を海に囲まれた島国であり、海洋環境の持続可能な発展を重視している。第二の共通点は「民主主義」で、いずれも民主体制を確立し、地域の平和と安定の重要性について一致した見方を示している。このため、今回の外遊では国交樹立国と民主化や持続可能な発展などの経験について意見を交わし、海を「自分たちを隔てるもの」ではなく、「自分たちを結びつけるもの」と見なしたいと考えている。
外交部は当初、総統の外遊期間について3月24日から31日までを想定し、太平洋に位置するもう一つの国交樹立国、キリバス共和国のタネティ・マアマウ(Taneti Maamau)大統領やその他の訪問先の国家元首から同意を得ていた。しかし、総統府は3月29日に行われる忠烈祠(台湾北部・台北市)での「春祭大典(春の式典)」の重要性を考慮し、外訪期間を3月21日から28日までに決めた。忠烈祠の「春祭大典」は、辛亥革命や抗日戦争など、中華民国のために殉じた烈士をしのび、国家元首ら政府要人らが革命烈士の英霊に花を手向ける儀式。春と秋の年2回あり、春の式典は青年節に当たる3月29日に行われることになっている。
外遊期間の変更を受けて、パラオとナウルは日程調整に応じた。しかし、キリバスのタネティ・マアマウ大統領は、自身が学長を務める南太平洋大学(オセアニアの12の島国が共同で設立した公立大学)の卒業式がフィジーで行われるため、この期間は国内を留守にしており、しかも卒業式の関連日程についても、他国からやって来る来賓の都合もあり、変更することが不可能だったため、最終的に話し合いの結果、今回の外遊先から外すことにした。
総統が率いる訪問団は21日午後に台湾を出発し、同日夜にパラオに到着する。24日にナウルに移動し、26日にマーシャル諸島へ向かい、会議に出席する。台湾への帰国は28日夕方で、全部で7泊8日の日程となる。
Taiwan Today:2019年3月13日
写真提供:総統府サイトより
蔡英文総統は3月21日から28日まで、太平洋に位置する国交樹立国であるパラオ共和国とナウル共和国を公式訪問するほか、マーシャル諸島共和国で開催される国際会議に出席する。写真は外遊の詳細について説明する外交部の徐斯儉政務次長(=副大臣)。