経済部の沈栄津部長が行政院副院長に、後任は王美花次長
行政院(=内閣)の陳其邁副院長(=副首相)が19日、高雄市(台湾南部)の市長補欠選挙に出馬するため、副院長を辞任した。行政院はその後任として、経済部(日本の経済産業省)の沈栄津部長(=大臣)を起用することを明らかにした。新たな経済部長には王美花政務次長(=副大臣)を充てるとした。経済部は20日、王美花女史の部長就任式典を行った。
沈栄津氏は経済部で38年間働いてきた生え抜きの経済官僚。2017年に部長(=大臣)に就任して以来、産業のイノベーション、エネルギーの構造転換を推進し、企業の分散投資、台湾回帰投資の加速に協力してきた。今年の年初、新型コロナウイルス感染症が発生すると、サージカルマスクの増産を短期間で実現し、その後はコロナショックで打撃を受けた企業や個人への救済に力を入れてきた。
沈栄津氏は経済部長就任後、電力、水資源、開発用地、人材、仕事の「5欠(5つの不足)」に力を入れ、企業のために奔走。米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響で世界のサプライチェーンが再構築されるのを契機に、経済部は対台湾投資誘致に力を入れ、未曽有の台湾回帰投資を実現させた。いわゆる「投資台湾三大方案」を利用した台湾回帰投資は目標だった1兆台湾元(約3.6兆日本円)を突破した。これによって8.6万人分の雇用機会創出が見込まれている。
新型コロナウイルス感染症が発生すると、サージカルマスクの生産を支えるために台湾の工作機械メーカーを結集して「口罩国家隊(=マスク生産のナショナルチーム)」を結成。1か月以内にマスクの生産ライン60台を完成させた。その後も、今年3月末までにさらに32台の生産ラインを増産し、マスクの生産能力は従来の1日188万枚から、現在は2,000万枚にまで増えている。
行政院の丁怡銘報道官は「各国がマスク不足に直面する中、台湾の人々はインターネットでマスクを注文し、現在では長時間並ばなくても薬局で容易にマスクを入手することができる上、国内の需要を超えるマスクを海外に無償提供できるほどになっている。沈栄津部長の貢献は大きい」と称賛した。
沈栄津氏の行政院副院長就任に伴い、後任に抜擢された王美花女史も、経済部で39年のキャリアを持つ生え抜きの官僚。経済部の各業務を熟知しているほか、智慧財産局(=日本の特許庁に相当)では18年間勤め、局長としても活躍した知財の専門家だ。2016年には政務次長(=副大臣)に抜擢され、部長だった沈栄津氏とは違う角度・視野から国内外の重要な業務を推進し、沈栄津氏を支えてきた。
コロナ禍で経済部は、「防疫物資」と呼ばれる感染症対策物資の生産と供給を担当したが、王美花女史は中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部)の物資組組長という大任を任され、経済部の職員を指揮して朝早くから夜遅くまで感染症対策の業務に携わり、卓越した手腕を発揮した。
行政院の丁怡銘報道官は「王美花女史は国際貿易協力を担当し、新南向政策(=ASEAN諸国、南アジア、オーストラリア、ニュージーランドなど18か国との関係強化を目指す政策)や台湾と米国、台湾と欧州連合(EU)の貿易・経済対話を推進し、各国の副大臣と堅実なパートナーシップを積極的に築いてきた。また、欧州議会やスウェーデンの議会に招かれて講演を行い、台湾のために発言してきた。過去には何度も訪問団を率いて海外を訪れ、対台湾投資や優秀な人材の誘致に力を入れてきた。台湾企業の台湾回帰投資を監督・指導し、政府の投資計画の目標達成に貢献し、台湾の投資市場に新たなエネルギーを注入した」とその業績を称えた。
Taiwan Today:2020年6月22日
写真提供:中央社
行政院(=内閣)の陳其邁副院長(=副首相)の高雄市長補欠選挙出馬に伴い、経済部(日本の経済産業省)の沈栄津部長(=大臣。写真左)が行政院副院長に就任することになった。新たな経済部長には王美花政務次長(=副大臣。写真右)が就任した。写真は20日、経済部で行われた王美花女史の部長就任式典の様子。