台湾はＷＴＯの一員として世界経済を促進

　１２月１３日～１８日まで、香港で世界貿易機関（ＷＴＯ）閣僚会議が開催される。台湾からは何美玥・経済部長をはじめ、李金龍・行政院農業委員会主任委員、林義夫・駐ＷＴＯ常任代表、陳瑞隆・経済部次長（政務次官に相当）らが出席し、加盟国１５０カ国の貿易担当閣僚と経済・貿易問題について協議する。

　今会議では、パスカル・ラミー世界貿易機構(WTO)事務総長がさきごろ作成した「香港宣言文草案(Draft Ministerial Text)」に基づき、農業自由化や非農産物市場開放(NAMA)、サービス貿易自由化交渉の加速、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(ＴＲＩＰＳ)など、現在ＷＴＯの重要課題となっている新多角的貿易交渉（ドーハ・ラウンド）の各議題について交渉が行われる。

　またＷＴＯは６日の一般理事会において、ＴＲＩＰＳを修正し、エイズなどの治療薬を製造する能力を持たない発展途上国に対し、安価なコピー薬の輸入を許す協定を採択した。２００７年１２月１日までにＷＴＯ加盟国の３分の２以上が修正を批准すれば、正式発効する。今回の特許権保護の緩和は、ＷＴＯが途上国の需要に応じて規則を修正した初めての例となった。台湾は２００３年にＴＲＩＳが決議された際、韓国、香港、シンガポールなど１１の加盟国とともに、国家の緊急事態か特に切迫した状況に至らない限り、コピー薬の輸入はしないことを宣言していた。今回の修正案通過に際し、林義夫・台湾駐ＷＴＯ代表はこの方針を今後も堅持する意志を改めて示した。

　１３日の開幕式には、曾蔭権・香港特別行政区行政長官をはじめ、閣僚会議議長の曾俊華・香港工商および科学技術局長、ラミー事務総長、一般理事会議長のモハメド・ケニア駐ＷＴＯ常任代表らが出席することになっている。何部長は１６日に、各国代表と並んで、国際貿易に対する台湾の方針について宣言を発表する予定だ。

　一方、何部長は１２月６日、マニラで行われたフィリピンとの経済協力会議において、台湾の流通港である高雄と、同国のスービック湾自由貿易港・特別経済区及びクラーク特別経済区とを結ぶ「高雄－スービック湾－クラーク特別区経済ライン」に関するメモランダムを同国と締結した。これらのエリアにはすでに多くの台湾企業が進出しており、今回のメモランダム締結は、特別区内における両国の貨物の流通、融資手続きや許可証発行手続きなどの簡便化・迅速化をねらいとしている。

　何部長は「同経済ラインを利用すれば、台湾企業はフィリピンをアセアン市場の窓口とし、またフィリピン側にとっても、台湾を中国やアジア市場への足がかりとすることができる。さらに日本とフィリピンが自由貿易協定（ＦＴＡ）を締結した暁には、フィリピンから日本へ有利な条件で輸出することが可能となる」と述べ、この貿易関係を通じた市場開拓に期待を示した。

《２００５年１２月９日》