謝長廷・駐日代表 ２０２０年双十国慶節祝辞

謝長廷・駐日代表　２０２０年双十国慶節祝辞　

世界に貢献　台湾の善良なパワー

　双十節は中華民国の誕生日です。孫文先生は109年前の10月10日に中華民国を建国しました。当時の中華民国は、アジア初の民主共和国でした。

　しかし、中華民国の民主主義の理想は、中国大陸では実現せず、中華民国が台湾に移ってから、台湾の人々が無数の困難を乗り越え、一歩一歩民主化を実現させてきたのです。台湾はこれまで７回にわたる総統の直接選挙、３回にわたる政権交代が行われました。蔡英文総統は３回目の政権交代で当選したのであり、今日の台湾における中華民国は名実ともに民主国家になったといえます。台湾は小さな国ではありますが、国民一人一人が幸せに生きられ、国のリーダーも直接選挙で選ぶことができます。これらは我々台湾の誇りなのです。

　他方、中国大陸では長年にわたり中国共産党政権が政治の民主化を拒否し続け、自由と民主主義を求める人々の行動を反乱だと決めつけ、弾圧してきました。近年は香港へも弾圧を拡大し、その攻撃の矛先は台湾の民主主義にも向けられています。中国は「一国二制度」の受け入れを台湾に迫っていますが、台湾の蔡英文総統は「一国二制度を断じて受け入れない」と明確に主張しています。

　今年初め、中国武漢で新型肺炎が発生した際、台湾はWHO（世界保健機関）に未加盟であり、WHOに頼れず、自分の力だけで切り抜けなければなりませんでした。しかし、世界で感染が蔓延するなか、台湾は感染の封じ込めに成功しました。これは、台湾の自由、民主主義の透明な制度が、感染対策に優れていることを証明しています。

　蔡英文総統は、台湾が「善良なパワー」であると述べています。世界中で感染が広がるなか、「Taiwan Can Help」つまり台湾は「役立つ力」なのです。台湾は医療物資が自給できるようになった後、その一部を医療物資が切迫している国に支援しています。台湾は４月に200万枚のマスク、５万着の医療用ガウンを日本に贈りました。また、民間からも台湾人は、「人の痛みを我が身のように」の精神で、日本を励まし、支援してきました。まさに「まさかのときの友こそ真の友」といえます。

　台湾と日本は自由、民主の価値観を共有し、両国国民の好感度も高く、最高のパートナーだといえます。特に両国間の貿易額も大きいので、日本の支持を得ながら台湾がCPTPP（環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定）などの多国間貿易協定に加盟できれば、必ず双方プラスになると信じています。

　今年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの交流活動が中断しており、経済の発展にも大きな影響が出ています。本当に深刻な事態です。しかし、感染症の流行もいつかは終息します。我々はその日に向けて今から準備しています。感染が落ち着きましたら、我々はこれまでの基礎の上に、両国の関係を深め、友好交流をつないでいきたいと、ここに決意を表明いたします。

【台北駐日経済文化代表処　２０２０年１０月１０日】

謝長廷・駐日代表 ２０２０年双十国慶節祝辞

謝長廷・駐日代表　２０２０年双十国慶節祝辞