呉外交部長、インドネシアメディアの取材に対して中国の軍事的脅威への対応など語る
呉釗燮外交部長がこのほどインドネシアの「テンポメディアグループ(Tempo Media Group)」によるリモート取材に応じ、編集主任のReza Maulana氏及びベテランの経済版編集長Efri Ucok Ritonga氏に対して中国による軍事的脅威への台湾の対応、台湾とインドネシアの関係発展などについて語った。インタビューの内容は26日に同メディアのオンライン新聞「Koran Tempo」で公開された。
呉外交部長は、台湾に対する中国の圧迫は止まったことが無く、近年は軍機や軍艦を台湾の防空識別圏(ADIZ)や周辺海域に頻繁に送り込んでいるほか、国際社会における台湾の生存空間への圧迫も続けていると指摘。また最近中国の外務省が行った「台湾海峡は国際水域に非ず」との発言は挑発と脅しに満ちており、地域に不安定性を生み出すものだと批判した。
呉外交部長は、中国は対外的に「戦狼外交」(攻撃的な発言を中心とした強硬な外交)を推進し、「地域における覇権」という野心の実現を狙っていると警戒、その例としてカンボジア・リアム海軍基地の拡張工事(中国の支援で行われている)、ソロモン諸島との安全保障協定締結などを挙げ、いずれも国際社会が高度に懸念する事態になっていると指摘。その上で、自由で開かれたインド太平洋地域を守るため、米国、日本、オーストラリア、EU(欧州連合)、ドイツ、オランダ、フランス、イギリスなどのヨーロッパ諸国は各自「インド太平洋戦略」を打ち出し、さらには軍艦を関連の区域に派遣するなどして「航行の自由」を実践し、地域の平和と安定に対する重視のほどを示していると分析した。
呉外交部長は、台湾が中国に統治されたことは無いこと、台湾には直接選挙で選ばれた政府があること、台湾では自分たちの通貨を発行していることを列挙し、「現状維持が我が国の一貫した政策だ」と強調。続けて「台湾は弱みを見せることが侵略を招くことを深く理解しており、中国の軍事的脅威に対抗するため積極的に国防力を強化し、非対称戦力を発展させ、全国民動員の量的能力を強化している。同時に台湾は理念の近い国々の支持を求めており、国際社会も我が国に対してこれまでになかったほどの支持を示している」と述べた。
台湾とインドネシアの関係発展について呉外交部長は、インドネシアは対外関係において常に独立性と自主性を主張する外交政策をとり、また東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とする関係の維持に努めていると指摘。台湾はインドネシアの外交政策を尊重しながら貿易や投資、医療サービス、農業などの面での協力関係をこれからも深めていきたいと希望した。
呉外交部長は中華民国政府が2016年から推進する「新南向政策」(台湾が南アジア、東南アジア、ニュージーランド、オーストラリアとの様々な分野での関係発展を目指す政策)が双方の各分野での交流と協力関係を深めたとの見方を示し、台湾でハラル認証が推進されていること、交通上の重要なポイントや景勝地にムスリムにフレンドリーな施設が設けられていることなどを挙げて、インドネシアの人々が台湾にやって来て台湾をより理解してくれることを歓迎した。また、台湾で暮らす大勢のインドネシア人労働者と学生は双方の民間交流の重要な橋渡し役だとし、台湾はこれからもインドネシアとより緊密な関係の発展を目指すと語った。
イ ンドネシアの「テンポメディアグループ」は2001年に創設され、インドネシアでは誰もが知る全国的なメディア。傘下の「Koran Tempo」は2021年より全面的に電子化。政界や財界など各界で高い人気を誇っている。
Taiwan Today:2022年6月27日
写真提供:外交部
呉釗燮外交部長がインドネシアの「テンポメディアグループ」によるリモート取材に応じ、中国による軍事的脅威への対応、台湾とインドネシアの関係発展などについて語った。写真は取材に応じる呉外交部長(右)、モニター内が「テンポメディアグループ」の政治版編集長ら。