台湾が国連参与目指す取り組み、支持の広がりに外交部が感謝
国連総会の一般討論演説が終了したことを受け、外交部(日本の外務省に相当)が27日、国連参与に向けた今年の取り組みを総括するプレスリリースを発表した。以下、その内容要約。
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中国が台湾に対する軍事的恫喝のレベルをさらに引き上げ、地域の平和と安定に深刻な脅威をもたらす中、政府は今年も国連体系への参与を目指し、台湾の2,300万人の国連参与に向けた熱い願いを効果的に伝えることで、そうした取り組みに対する国際社会の同意、支持及び重視を獲得しようとしてきた。外交部は、我が国の国交樹立国(正式な外交関係を持つ国々)及び理念の近い国々が第77回国連総会の開催期間中に様々な方式で我が国への支持を表明したこと、我が国が武力による脅威に反対する訴えに前向きに反応したこと、台湾海峡の平和と安定に対する重視を呼びかけたこと、そして台湾の国際社会に対する貢献を評価したことに心から感謝する。
今月20日から26日までの一般討論演説では、パラグアイ、マーシャル諸島、グアテマラの大統領、エスワティニ王国の国王、パラオの外相、セントルシア、セントクリストファー・ネービス、ベリーズ、ツバル、セントビンセント及びグレナディーン諸島の首相、ナウルの国連常駐代表(大使)代行ら国交樹立国の政府上層部11名(演説した順序による)が台湾のため正義の声を上げ、台湾海峡及び地域の平和と安定に関心を寄せた。また、台湾が国連への有意義な参与を求める訴えに対して国連は第2758号決議を政治的に解釈することで対処すべきでなく、「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現により多く貢献する能力を持つ台湾を受け入れるべきだと呼びかけた。
理念の近い国々も台湾海峡の情勢を強く懸念した。米国のジョー・バイデン大統領、チェコのヤン・リパフスキー外相、欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は一般討論演説の中でいずれも台湾海峡の平和と安定への支持と、(台湾海峡の)どちらかの一方的な現状変更への反対を強調した。国連総会開催期間中、G7(主要7カ国)の外相及びEU(欧州連合)の外務・安全保障政策上級代表は共同声明を発表し、台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認すると共に両岸問題の平和的な解決を呼びかけた。さらに米国、イギリス、日本、オーストラリア、ドイツも国連総会を機に行った他国との会談やメディアによる取材、公式なレポートなどを通して台湾海峡の情勢に関心を寄せた。
各国の立法機関も引き続き台湾にエールを送った。米国、カナダ、ホンジュラス、コロンビア、アルゼンチン、南アフリカなどの国会議員は台湾に友好的な法案の可決や共同コミュニケの発表、SNSでの発信、国連事務総長に宛てた書簡など様々な方式で、我が国の国連参与を支持した。このほか、欧州議会は台湾海峡の安全保障に関する決議を採択し、台湾海峡及び地域の平和を支持し、どちらかによる一方的な現状変更に反対した。
また欧州「フォルモサクラブ」(欧州各国の親台湾派議員によって構成される議員連盟)の28カ国の国会議員、ならびに29カ国の国会議員によって構成される「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」は前後して声明を発表、中国の軍事的挑発を非難すると共に台湾海峡の平和と安定の重要性を重ねて訴えた。
我が国の訴えは国際的な宣伝活動やニューメディアを通して全世界の各界に拡散した。呉釗燮外交部長(外務大臣)は、台湾が揺らぐことなく主権を守ると同時に衝突をエスカレートさせないこと、争いを引き起こさないこと、国連が中国による圧力に屈して第2758号決議の誤った引用を続けないよう呼びかけること、台湾は世界と共に各種の複雑な危機に対処するため力を尽くして貢献する用意があることなどを内容とした文章を発表。この文章は米国、カナダ、EU、フランス、スペイン、デンマーク、リトアニア、ウクライナ、韓国、ホンジュラス、エスワティニ王国、ベリーズなどの主流メディアに掲載され、掲載回数は延べ202回を超えた。また、プロモーション動画の『台湾の支援の手(Taiwan’s helping hand)』では、台湾は世界がSDGsを達成するため欠くことの出来ないパートナーであることを強調した。同動画はインターネット上で熱烈な反響を呼び、すでに延べ1,023万人が視聴している。我が国はまた、米ニューヨークのランドマークであるタイムズスクエアに、「Give Taiwan a voice: a voice for good」と銘打った大型の動画広告を出し、台湾のイメージを通して世界の目を引き付け、台湾の国連参与への願いに対する各界の理解と支持を深めた。
蔡英文総統は9月19日、ニューヨークの著名なNPO「Concordia」の年次総会で、あらかじめ録画した講演(keynote remarks)を行った。蔡総統はこの中で、「台湾の民主を守り抜くことは集団としての自由と人権の確保に極めて重要だ」と強調、各国が団結・連携して権威主義の拡張に共に対抗していくよう、そして台湾を受け入れて国連に参与させるよう呼びかけた。これは我が国の元首にとって、国連総会の開催期間中にニューヨークにおける国連コミュニティの大規模かつ公の活動で行った初めての演説になった。
台湾に貢献する能力とその意志があることを示すため、我が国は今年ニューヨークで様々なサイドイベントを実施、それらのイベントでは国連の重視する平和、イノベーション、「持続可能な開発」などにフォーカスした。行政院(内閣)国家永続発展委員会の蔡鴻徳副執行長は我が国にとって2回目の「持続可能な開発」に関する「自発的国家レビュー(Voluntary National Review:VNR)」を発表、マーシャル諸島のAmatlain Elizabeth Kabua国連常駐代表、パラオのIlana Seid国連常駐代表及び財団法人国際合作発展基金会(ICDF)の史立軍副秘書長(副事務局長)と対話を行い、我が国が世界のSDGs達成のための責任感あるパートナーであることを示した。このほか、数位発展部(デジタル発展省)のオードリー・タン(唐鳳)部長(大臣)とスタートアップ「小智研発(MINIWIZ)」の創業者、黄謙智氏は「Concordia」の会合の中でその経験を共有し、台湾が世界の人々の福祉促進に関する国連の議事日程を助ける能力を備え、その意向も持っていることを伝えた。これら国連総会に伴う様々なサイドイベントはいずれも熱烈な反響を呼んだ。
立法院(国会)からは范雲委員(国会議員)と王婉諭委員(同)が視察団としてニューヨークを訪れ、政府の取り組みを支える力強い民意を届けた。同時に、台湾の国際社会参与に関心を寄せる海外の華僑団体も国連総会開催期間中、創意工夫した応援活動を実施、街頭デモや広告の掲載などを通じて我が国の取り組みを勢いづけ、政府と協力して国際社会に対し、国連は1日も早く台湾の訴えを受け入れるべきであることを訴えた。
Taiwan Today:2022年9月28日
写真提供:外交部
国連総会の一般討論演説が終了したことを受け、外交部が27日、国連参与に向けた今年の取り組みを総括するプレスリリースを発表した。