政権発足7年の談話、「台湾はリスク・メーカーではなく責任あるリスク・マネージャー」
蔡英文総統は20日午前、2016年5月20日の就任から丸7年を迎えたことを受けて談話を発表し、7年間の政権の歩みを振り返った。蔡総統は談話で、これからも自由、 民主主義の「守護者」となり、国民生活をより良くする「造福者(=福を作り出す人)」でありたいと述べ、台湾の人々をより幸福に、国家をさらに前進させることを約束した。記者会見には頼清徳副総統、総統府の林佳龍秘書長、黄重諺副秘書長、張惇涵副秘書長、報道官の林聿禪氏、Kolas Yotaka氏が同席した。
蔡総統は、政権の運営チームが7年前、「国家改造」という初心をもって一歩ずつ改革を進めていったことを振り返り、ここまで来るのは長い道のりだったが、台湾を7年前から大きく変貌させることができたと胸を張った。蔡総統はその一つとして「国防自主」が決して夢ではなくなったことを挙げ、昨年の双十国慶日(10月10日)、台湾が自主開発した新型高等練習機「勇鷹号」が総統府上空を空高く飛んだのを見た日のことを振り返った。そして、今年下期には台湾が初めて自主建造する潜水艦の試作艦が進水式を行うことを挙げ、多くの人々の努力によって、自主防衛にかける台湾の決意を全世界に示すことができると述べた。
中国の台湾に対する「文攻武嚇」(言論による攻撃と武力による威圧を並行して行うこと)について蔡総統は、「台湾の人々は軽はずみな対応をせず冷静に対処し、理性を失わず、相手を挑発することもなかった。これまでにない粘り強さを見せ、世界に台湾の強靭性を示した。それだけでなく、民主主義の台湾を支援する国際社会の力も、かつてないほどに団結し、強大になっている」と指摘。また、国防の第一線に立つ国軍、警察、海洋委員会海巡署(日本の海上保安庁に相当)に感謝し、「何よりも重要なことは2,300万人の台湾人が一致団結することだ」と述べた。そしてこれからの目標として「世界のサプライチェーンにおける重要なポジションを維持する」ことと「台湾海峡の平和と安定、現状を維持する」ことを挙げた。
蔡総統は続けて、「台湾はリスクの中に身を置いている。しかし、台湾は決してリスク・メーカーではなく、責任あるリスク・マネジャーだ」と述べ、世界の民主国家とともに立ち、連携してリスクの解消に取り組むことを約束した。蔡総統は、台湾は現在世界的な「キーワード」となっており、台湾海峡の問題はすでに両岸地域のレベルから脱却し、世界の安全や国際的な繁栄を左右する問題になっていると指摘。全世界がステークホルダー(利害関係者)であることから、両岸関係の処理にはグローバルな視野が必要なことを強調した。
蔡総統はまた、「世界のコンセンサスは明確だ。台湾海峡問題は平和的に解決されなければならないと考えている。戦争は選択肢ではない。どちらの一方も決して、平和ではない方法で、一方的に現状を変更することはできない」と断言。総統就任以来、自分の立場に変わりはないとして、「台湾は約束を守り、現状を維持し、台湾海峡の安定に取り組む。『※4つの堅持』を守り、台湾の人々の利益と福祉を保障する。台湾は挑発せず、冒険もしないが、圧力には断固として屈しない。現状を維持して衝突を回避する。対等な対話によって意見の対立を解消し、健康的で秩序ある交流を促進する。これは与野党が一致して負うべき責任であり、両岸が一致して負うべき責任でもある。ひいては、この地域にある各国や、世界の民主国家が一致して期待するところでもある」と述べた。
蔡総統は最後に、「中華民国総統として、2300万人の台湾の人々とともに、この2,556日間を一緒に歩むことができて大変光栄に思う。これからも一緒に、胸を張って迷うことなく世界へ向かって歩いて行こう」と述べて談話を締めくくった。
※4つの堅持
「自由と民主主義の憲政体制を堅持する」、「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しないという立場を堅持する」、「主権への侵犯と併呑を許さないという立場を堅持する」、「中華民国台湾の前途は台湾の全ての人民の意志に従わなければならないとの考えを堅持する」
Taiwan Today:2023年5月22日
写真提供:総統府
蔡英文総統は20日午前、2016年5月20日の就任から丸7年を迎えたことを受けて談話を発表し、7年間の政権の歩みを振り返った。