謝長廷・駐日代表 ２０２３年双十国慶節祝辞

謝長廷・駐日代表　２０２３年双十国慶節祝辞

　中華民国（台湾）は112回目の国慶節を迎えました。

　今年はコロナ後、台日間の対面交流が本格的に再開した一年となりました。国会議員の相互訪問をはじめ、政治、経済、文化、教育、観光など、様々な分野において、人的往来が着実に回復してきました。待ちに待った観光再開で、日本の街中では活気に満ちた台湾観光客が見られるようになり、台湾の夜市でも日本語が聞こえ、双方の人々が再びマスクを外し、笑顔で歓談できるようになりました。このような人と人の触れ合い、即ち「草の根の交流」こそが、真の友情や強い絆を構築できると信じています。

　地方や民間を軸とする草の根交流は台日関係において極めて重要です。ここ数年間、台日双方の努力の下、その成果は日本各地で花開きました。私が駐日代表として着任して以来、100件目となった地方友好交流協定は今年7月、台南市と山口県の間で締結されました。着任した7年前に60件余りだった台日地方友好交流協定は、今165件以上にまで増えました。これは、まさに台湾と日本の友好関係がどれだけ成長し、着実に深化してきたかを反映しています。

　この強固な友情は百年もの年月の間に蓄積され、世代を超えて、また次の世代へと継承されています。その好例は、今年改めて佐渡島に設置された山本悌二郎氏の銅像です。台湾人彫刻家の黄土水氏が制作し、日本時代に山本氏が創設に携わった高雄の製糖工場に置かれていたこの銅像は、戦後、山本氏の故郷である佐渡島に移設されていましたが、佐渡市の協力を得て昨年、高雄にある元の場所に帰ることができました。そして今年、銅像のレプリカを再び佐渡島にも設置することができました。百年前の友情が巡り合わせ、百年後の今、再び台日の友情を繋ぐ懸け橋となったのです。

　百年にわたる台日の絆は、両国関係の極めて重要な基礎です。近年、台湾は安全保障や経済安保などの面で、日本でもたびたび報道され、注目されるようになりました。更に、G7サミットや日米首脳会談などの国際会談でも、「台湾海峡の平和と安定」の重要性が強調され、世界各国から関心が寄せられています。各国要人が相次いで台湾を訪問し、台湾への支持を示しました。日本からも、麻生太郎元首相が今年8月に訪台しました。今、国際社会において、「友台」の流れはますます大きくなっています。その理由は言うまでもなく、中国からの脅威に直面する台湾の平和と安定は、日本の平和と安定であるのみならず、世界の平和と安定でもあるからです。平和こそが、絶対に譲れない世界共通の核心的利益です。

　台湾と日本は「平和共同体」です。平和があるからこそ、台湾は日本と同じく自由、民主主義、法の支配、人権、多様性などの理念を共有することができます。台日両国の互いに助け合う平和的な友好関係は、世界でも稀であり、隣国関係の模範と言えます。このような素晴らしい関係が末永く続くよう、これからも日本と緊密に協力していくことを望んでいます。

【台北駐日経済文化代表処　２０２３年１０月１０日】

謝長廷・駐日代表 ２０２３年双十国慶節祝辞

謝長廷・駐日代表　２０２３年双十国慶節祝辞