【 台北駐日經濟文化代表處札幌分處 】
2025年11月第4週TOPICS
【台湾、8年間に約6兆円超投入へ 顧国防部長、迎撃能力や無人化強化に意欲-政治-】
(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は26日、台北市の総統府で記者会見を開き、2033年までの8年間に1兆2500億台湾元(約6兆2300億円)の追加防衛費を投入する方針を示した。顧立雄(こりつゆう)国防部長(国防相)はこれについて、空中での多層的な迎撃ネットワーク、指揮管制と意思決定支援、多層的な火力支援の効率化、長距離精密打撃、作戦持久力、軍備生産力、国防による経済効果の強化を柱とする七大目標を掲げ、重要な戦力の増強を図ると説明した。
顧部長は、中国の嫌がらせは日増しに多様化していると指摘。台湾辺境の安全を脅かし、インフラや軍事システムのまひ、対外通信の弱体化、軍備の消耗、主権侵害による小規模衝突の誘発などを通じ、国際航行やエネルギーの安定供給、食料の安全保障などに脅威を与えようとしているとした。
また中国は昨年以来、台湾を包囲するように軍事演習を実施し、訓練から演習、演習から実戦への移行リスクを高め、台湾が警戒体制を敷く時間的余裕を削るように脅威の形態を変えていると主張。軍事拡張はすでに伊豆諸島や米領グアムをつなぐ「第2列島線」まで広がり、国際社会の既存ルールにも挑戦しており、インド太平洋地域の民主主義国家に警戒心を高めさせていると述べた。
その上で、台湾は第1列島線の中枢として高まる中国の脅威に向き合い、迅速に戦力を統合し、実際の防衛作戦に必要な武器や装備を調達する必要があると強調。政府予算で国軍の非対称戦力を整備する他、22~26年の特別予算や26~33年の防衛強靱(きょうじん)性・非対称戦力強化計画のための特別予算で多領域拒否作戦を強化し、多層的な防衛作戦システムを構築するとした。
33年までの特別予算では、資源の安定確保を図り、高性能火砲や遠距離精密迎撃ミサイル、対空・対戦車ミサイル、無人機と対抗システム、作戦持久力を強化する装備、人工知能(AI)支援など必要とする戦力の調達を加速させると説明した。
顧部長は、台湾は第1列島線と民主主義世界の最前線に位置し、覇権主義の挑戦に立ち向かっていると述べ、パートナーと各分野での連携を強化する意欲があるとした。国防部(国防省)も真摯な態度で特別予算の編成と執行に取り組むとし、国会の監督下でふるさとを守ると語った。:2025年11月26日
【台湾、中国産ビールや鋼材に反ダンピング関税 税率は最高51.94%–経済 -】
(台北中央社)財政部関務署(財務省関税局に相当)は27日、中国産のビールや特定の熱間圧延鋼材を対象にした関税調査の結果を受け、反ダンピング(不当廉売)関税を課すと公告した。適用期間は7月3日から5年間で、税率は一部のビールで19.13%~51.94%、一部の熱間圧延鋼材で16.1%~20.15%になった。
経済部(経済省)は10月、貿易救済審議会を開き、中国産のビールや熱間圧延鋼材の不当廉売により、国内産業が実質的な損害を受けたと認定していた。
関務署は、7月3日から反ダンピング関税を暫定的に課していると説明。経済部の見解によれば、同関税により国家全体の経済利益に明らかな悪影響を及ぼすことを裏付ける十分な証拠はないという。
また財政部と経済部は、損害をもたらす恐れのあるダンピング行為や短期間の大量輸入が国内産業に損害を与え、反ダンピング関税の救済効果を著しく損なう可能性があることを、輸入業者は認識していたあるいは認識し得たと認定。その上で、相殺関税や反ダンピング関税の実施は、関連する法律の規定に合致するとした。
財政部関税税率審議グループは暫定的に課税された日の90日前から輸入された貨物についても課税することを決めたという。輸入業者がすでに支払った税額が確定税額を上回る場合は、差額を返金するとしている。:2025年11月27日
【台湾の高校校長ら、日本各地を視察 特色ある教育の理解深める 学校間交流を促進–社会-】
(台北中央社)教育部(教育省)は26日、台湾の高校の校長らが先月下旬に日本各地への視察旅行を行ったと紹介した。各地域の特色ある教育について理解を深めた他、台日の学校間交流や教育協力の促進を図った。
同部によれば視察は日本政府観光局(JNTO)が主催し、日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会が共催した。
参加者はまず東京都内で「日台教育交流意見交換会」に出席。日本の地方自治体や観光振興の関係者と共に、教育交流の計画や安全管理、カリキュラムとの融合などに関して議論を行った。
その後は12のルートに分かれて各地を訪問。東北では防災や復興に関する教育、関東では技術・職業教育と産業のつながり、南日本や離島では平和や海洋教育などについて見識を広げたという。
同部は、海外との教育交流は児童・生徒の国際的視野の育成や異文化理解の重要な手段だと言及。今回の視察が台日の教育機関・学校の相互理解を促すだけでなく、長期的な協力や交流のプラットフォームの構築にもつながるよう期待しているとの考えを示した。:2025年11月27日
【日本時代「遊郭」関連の建物10棟 歴史建築に登録へ/台湾・台北–文化 -】
(台北中央社)台北市政府文化資産審議委員会は24日、同市万華区華西街で向き合う日本統治時代中期に建設された建物10棟を歴史建築に登録することを決めた。いずれも遊郭だった場所で、当時の面影が残っており、保存価値があるとされた。
審査対象となった建物の住民は、同地が台北発展の起点になった場所だとして、文化保存地域にすべきだと主張。華西街西側の建物は今年5月に火災被害を受けたものの、れんが造りの建物が歴史を背負っているとし、地域全体を文化資産や文化園区とすべきだと語った。
審査委員の王恵君さんは、住民の保存に前向きな姿勢に感動したとした上で、再開発で解体するのは惜しいとし、全体の復元を図れば、万華の特色あるスポットにできると今後の活用に期待を示した。
審議委員会の李乾朗主席は、建物の価値は美しい彫刻の有無やバロック様式かどうかではなく、通りに沿って歴史的象徴があることだと説明。周囲を見渡した際に趣を感じられることが重要だとし、東側と西側の両方の建物を保存すべきだと訴えた。
歴史建築への登録の是非を問う審査委員13人による採決では、登録賛成が反対を上回った。
文化局は結果を受け、財政部(財務省)国有財産署に緊急保護措置を求め、火災で被害を受けた歴史建物の早急な修復を進めるとした。また東側の建物については所有者に対し、今後の修繕・再利用計画の提出を促すとしている。:2025年11月25日
【交通系ICカードの利用額還元制度 12月から高速バスの対象拡大/台湾–観光-】
(台北中央社)交通部(交通省)公路局は24日、交通系ICカード「イージーカード」(悠遊卡)などを使って公共交通機関に乗車した場合に、利用回数に応じて利用額を還元する制度「TPASS 2.0」について、12月から高速バスの対象を拡大すると発表した。台湾西部(走行距離70キロ以上)や東部の高速バスを1カ月に2回乗車すると利用額の15%、4回以上で30%が還元される。
「TPASS 2.0」は今年2月に導入された。イージーカードやiPASS(一卡通)、icash(愛金卡)を使い、1カ月に一部のバスや台湾鉄道、台北・新北メトロ(MRT)を利用すると回数に応じて利用額の還元を受けられる。公路局の統計では、11月12日までに約26万5000人が登録を済ませ、2~9月には総計約3822万台湾元(約1億9000万円)が還元された。
公路局の林福山局長は記者会見で、対象の拡大は高速バスを利用した帰省ニーズに対応するためだと説明。新たな還元制度の名称は「TPASS 2.0+」とした。
新たに対象となる高速バスは91路線。台北と南部・高雄を結ぶ片道運賃803台湾元(約4000円)の和欣客運7513路線の場合、1カ月に2回利用すると241元(約1200円)、4回利用すると964元(約4800円)還元される。
林局長は、連休には優待運賃などと組み合わせて利用でき、高速バスの利用者を5%増やすことができるとの見通しを示した。
また異常利用によるバス会社や利用者への影響を防ぐため、12月からは毎月の還元額の上限を2500元(約1万2500円)に設定することも併せて発表した。:2025年11月25日