【 台北駐日經濟文化代表處札幌分處 】
2025年11月第2週TOPICS
【パラオなど5カ国、台湾の気候変動枠組み条約参加に支持表明 COP30首脳級会合-政治-】
(台北中央社)国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第30回締約国会議(COP30)が10日、南米ブラジルで始まる。これに先立ち、首脳級会合が6~7日に開かれ、中華民国(台湾)と外交関係を有する5カ国が台湾のUNFCCC参加に支持を示した。外交部(外務省)は10日、「心からの感謝」を表明し、気候変動対応に貢献できるよう、今後も引き続き国交樹立国や理念の近いパートナーと緊密に協力していくと強調した。
同部の報道資料によれば、台湾への支持を表明したのは、エスワティニ、パラオ、マーシャル諸島、セントクリストファー・ネビス、ツバルの5カ国の首脳や閣僚。
このうち、パラオのウィップス大統領は国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)が目指す原則「誰一人取り残さない」に言及。台湾を含む全てのパートナーに席を設けるべきだと訴えた。
ツバルの環境相は、気候変動に対応するための協力を緊急の課題にするべきだとし、「だからこそ台湾を枠組みに加えなければならない」と述べた。
COP30はブラジルのベレンで21日まで開かれる。:2025年11月10日
【農業試験所、コーヒーの新品種発表 上質な風味と多用途性アピール/台湾–経済 -】
(台北中央社)中部・台中市の農業部(農業省)農業試験所は11日、コーヒーの新品種「台農1号」を育成し、農家や企業への技術移転による生産・繁殖に成功したと発表した。台湾でコーヒーの新品種が誕生したのは初めて。平地から海抜約1300メートルまでの地域で栽培が始められており、従来の外来種と比べて生産量が多く、焙煎後の風味はスペシャルティーコーヒーのレベルだとアピールしている。
同試験所は、2024年には全国1216ヘクタールでコーヒーが栽培されているが、海外から導入されたコーヒー品種が台湾の環境に適応しにくく、気候変動の影響で生産量や品質が安定しないといった課題があったことから、新品種を開発したと説明。台農1号は低・中海抜での栽培に適し、平均生産量も台湾で栽培される外来品種の1.2倍になるとし、高海抜地域では品質がさらに向上すると強調した。
焙煎後にはナッツの香りや優しい酸味、濃厚で長い余韻が味わえるとしている。
また盆栽や庭園用の観賞植物としても適していると紹介。葉には機能性成分のクロロゲン酸が一般的な品種の約2倍含まれており、健康飲料などに活用できる他、パックなどのスキンケア商品の原料になり、新たな収入源になることが期待できるとした。同試験所ではクロロゲン酸を効率的に抽出する技術も開発したとしている。
同試験所は、台湾では毎年5万トン以上のコーヒー豆を輸入し、関連産業の年間売上額は400億台湾元(約1960億円)を超えているとし、「台農1号」は台湾市場で大きな発展の余地があるとの見方を示した。:2025年11月12日
【台北市、生理用品の無料配布機械を庁舎に設置 ロータリークラブ協力/台湾–社会-】
台北中央社)台北市政府庁舎に生理用品を無料で配布する機械が設置され、運用が始まった。機械や生理用品は市内の北安ロータリークラブが寄贈したもので、11日には記念式典が行われた。
利用者はQRコードをスマートフォンで読み取ることで、20日間に一つまで生理用品を受け取れる仕組み。ナプキンとタンポンから選択できる。
市社会局の姚淑文局長は式典で、市は「生理の貧困」問題の解消に向け、小・中・高校の女子児童・生徒を対象に生理用品を提供する政策を推進しており、多くの好評を得ていると紹介。これを土台とし、誰もが生理用品を入手できる「生理の平等化」をさらに進め、人々の生理に対する認識も高めたいと話した。
また、利用者の性別に制限はないため、パートナーや家族などが代わりに受け取ることも可能だとした。
機械は庁舎1階のトイレの外に置かれた。同局によればこの他、市内の各区公所(役所)や親子館でもロータリークラブが提供した生理用品を配布している。:2025年11月11日
【政府主導の「台湾華語学習センター」日本にも設置へ 日本語版の教材も–文化 -】
(台北中央社)華僑関連業務を担当する僑務委員会の徐佳青(じょかせい)委員長(閣僚)は12日、欧米に設置している「台湾華語(中国語)学習センター」(TCML)を日本にも展開する方針を明らかにした。
この日行われた立法院(国会)外交・国防委員会で僑務委員会は、これまで米国に68カ所、欧州に20カ所のTCML設置を支援し、英語やフランス語、ドイツ語、スペイン語などの教材を整備したと報告した。
議員からの質問に徐氏は、来年、日本にTCMLを2カ所設置する他、日本語版の教材を新たに作成する予定だと言及。オーストラリアとニュージーランドにも合わせて5カ所を開設するとした上で、台湾への留学を希望する学生だけでなく、台湾に派遣される予定のプログラマーやビジネスマンなど、興味がある人なら誰でもTCMLで華語を学べるようにしたいと話した。
中国は諸外国の大学などに「孔子学院」を設置している。オーストラリアの複数の大学が孔子学院を閉鎖したことが、同国へのTCML設置のきっかけになったかと議員から問われると徐氏は、台湾におけるテクノロジーの発展が海外の人々に華語学習の動機を与えており、孔子学院の閉鎖だけが関係しているわけではないと回答。また両者の方向性は全く異なり、孔子学院はプロパガンダ機関だが、TCMLは世界に台湾文化を広めるための場所だと述べた。
また、2026年から29年にかけてアジア太平洋地域の他、中南米にも展開する考えを示した。:2025年11月13日
【基隆―石垣間の新航路、船体整備で就航遅れ 台湾の業者「遅くとも年内には」–観光-】
(台北中央社)今年9月を目標としていた北部・基隆と沖縄県石垣島を結ぶフェリーの就航が、船体整備の遅れで延期されている。台湾側の担当業者、ワゴングループ(華岡集団)の洪郁航総経理(社長)は11日までに報道陣の取材に応じ、早ければ今月末、遅くとも年末までには運航を始めると話した。
同航路には中古フェリーが改修して使用される。洪氏は、船内の改装に関する工程が増えたのが遅れの原因だと述べた。
北東からの季節風の影響を受けやすい時期の就航となることについて、洪氏は「冬場はどうしても揺れる」と認めた上で、航路や進路、加減速を調整して大きく揺れないようにすると説明。夜間の運航となるため、旅客は横になることで揺れを感じにくくなると補足した。
運賃は当局の審査が終わってから公表すると言及。当初は試験期間として割安な価格を設定するとした。船体改修が間に合えば、運賃と就航日や販売開始日を同時に公表し、間に合わない場合は運賃だけを先に発表する方針を示した。
また、船内での飲食に関しては、クリエーションフード(開元食品)とトランスアジアケータリングサービス(復興空廚)の2社と提携する予定で、朝食ではサンドイッチなどの簡易的な食事を提供する予定だと明かした。大企業との協力を通じ、食の安全に対する不安を減らせればと話した。:2025年11月11日