温家宝・中国国務院総理の発言に謝長廷、馬英九両候補が反発

　中国の温家宝・国務院総理（首相）が３月１８日に、台湾が進める国連加盟を求める国民投票を「台湾と大陸が同じ『一つの中国』に属する現状を変更するものであり、両岸関係に衝撃を与え、台湾海峡情勢に緊張をもたらす」として反対を表明し、「（台湾の前途は）台湾の同胞を含む全中国人民によって決定されなければならない。台湾を祖国から分裂させる行為は目的を達することはできず、必ず失敗に終わる」などと発言した。

　これに対し、謝長廷・民進党総統候補および馬英九・国民党総統候補がそれぞれ温首相の発言に反論した。

　謝氏は、「『一つの中国』原則を強調し、台湾の前途は両岸の人民によって共同決定されるという温家宝の談話は、新鮮味がなく、一貫したものだ。しかし、台湾の総統、指導者の立場となる人間もまた一貫を堅持しなければならない。もし軟弱、無知であれば、中国の要求はさらに増え、台湾人の損害がさらに増えることになる」と述べた。

　そのうえで、謝氏は「私の立場は簡単ではっきりしている。台湾は主権独立国家であるということだ。だからいま総統選挙を行っている。台湾の前途は台湾の国民によって決定されるもので、両岸人民が共同決定するものではない」と強調した。

　さらに謝氏は「温家宝と馬英九氏の言い方は完全に一致している。馬氏はＢＢＣや星島日報のインタビューで、『最終的な統一』や『一つの中国』原則を提案し、台湾の前途は台湾と中国大陸の人民が共同決定すると語った。馬氏の談話は国際世論をミスリードし、台湾の国民に対して大きな損害をあたえた」と馬氏の対中政策を批判し、馬氏に対し「最終的な統一」と「一中（一つの中国）市場」などの主張を放棄するよう求めた。

　一方、馬氏は温首相の発言に対し、「中華民国は主権の独立した民主国家である。台湾の前途は２，３００万の台湾住民によって決定されるべきで、中共（中国共産党）の干渉は許さない。温家宝の発言は横暴、傲慢、愚かであり、台湾２，３００万人の主流民意を無視したものだ」と非難し、強い抗議の意を示した。

　さらに馬氏は「われわれの政策は、台湾を主体とし、国民に対し有利なものである。この精神の下に、『統一しない』、『独立しない』、『武力行使しない』の『３つのノー』が最も台湾の主流民意と両岸関係の要求に適している」と強調し、「国連復帰は台湾２，３００万人の共通の願望であり、引き続き努力を続ける」と語った。

　謝氏から「一中市場」と批判されている「両岸共同市場」に関して、馬氏は「台湾経済にとって両岸はその一環に過ぎず、われわれは世界と連結しているのであり、両岸だけなのではない」と強調した。

　また、馬氏は「もし中国当局が引き続きチベットの人々の鎮圧を続け、チベット情勢が今後悪化した場合、私が中華民国総統に当選したら、２００８年北京オリンピックへの選手団派遣中止も排除しない」と述べ、北京オリンピックへのボイコットも示唆した。

《２００８年３月１９日》