台湾で最古の原人の化石発見、２月に台中の国立自然科学博物館で展示

　澎湖水道海域（台湾本島と澎湖諸島の間の海域）で直立する人（２本足歩行する人。以下、ホモエレクトス）の特徴がある「澎湖（ほうこ）原人」の下あごの骨の化石が発見され、中華民国（台湾）の国立自然科学博物館地質学部門の張鈞翔・主任は国内および日本、オーストラリアの研究者らと共に４年の歳月をかけて研究した。

　その結果、この化石の年代は今から約４５万年前～１９万年前のものと判断した。これは台湾でこれまでに発見された中で最も古い人類の化石であるのみならず、ホモエレクトスのアジア地域における分布と形態に鍵となる証拠を提供するものとなった。この研究は世界の学術界からも注目され、本日（１月２７日）発行された英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に掲載された。国立自然科学博物館は今年２月に館内の生命科学庁（ホール）陽光過道のコーナーでこの下あごの化石を展示する予定である。

　教育部終身教育司（生涯教育局）の熊宗樺・司長（局長）は、「教育部所属のこの自然科学博物館は、日本およびオーストラリアの研究者と協力し、台湾の有史以来最古の人類化石を発見した。この貴重な研究は我々に、人類の過去の起源と発展について一歩ずつ探求を深める方向性を示すものとなった」と説明した。

　「澎湖原人」の下あごの骨の化石の化石は、台湾海峡澎湖水道で漁獲作業中に海底から引き上げられた。発見されたこの海域は台湾沖、西南約２５キロに位置し、アジア大陸棚の一部に属している。

　発見された「澎湖原人」の下あごの骨の大きさから推測すると、「澎湖原人」の身長は約１６０㎝、体重は約６０キロで、性別は現在のところ判断が難しいが、研究チームによると、奥歯の磨耗状態から、これは成人のものであると判断した。中国大陸各地で発見された同じような年代のホモエレクトスと比べると、「澎湖原人」はやや原始的な特徴があり、発達した頑丈な下あごを持っており、第二大臼歯（親知らずの手前の歯）が発達している。

　今回の研究チームには、台湾から国立自然科学博物館地質学部門の張鈞翔・主任、東海大学理学院の林良恭・院長（学部長）、日本からは国立科学博物館人類研究部研究官の海部陽介氏と河野礼子女史、京都大学の高井正成教授、お茶の水女子大学の松浦秀治教授、オーストラリアからはオーストラリア国立大学の２名の教授が参加した。

【国立自然科学博物館　２０１５年１月２７日】