台湾の「新南向政策」の推進計画について
台湾行政院は、総統府が発表した「新南向政策」の政策綱領に基づき、「新南向政策推進計画」を策定し、東南アジア諸国連合(ASEAN)、南アジア、オーストラリアおよびニュージーランドなどの国々との関係を全方位的に発展させ、地域の交流発展と協力を促進する。また同時に、台湾経済発展の新モデルも構築すると共に、台湾のアジア地域発展における重要な役割を改めて確立していく。
「新南向政策推進計画」は、ASEAN、南アジアなどの国々に工場を設立して受託生産の基地とする従来の単方向的な政策方法を改めたものであり、ASEAN10カ国、南アジア6カ国、オーストラリアおよびニュージーランドなど18の目標国と人材、資金、技術、文化、教育など双方向の交流を拡大して、目標国との戦略的パートナーシップを構築し、次第に「経済共同体意識」を確立していくことである。
4つの促進の主軸
(一)経済貿易協力:
パートナー国との産業サプライチェーンの統合、現地の内需市場の開発、インフラ建設の協力などを拡大し、新しい経済貿易のパートナーシップを確立する。
産業サプライチェーンの面では、「五大イノベーション産業」から着手し、スマート医療などモノのインターネット(IoT)システムの輸出を図る。また同時に、「新南向政策」の経済・貿易拡大の単一窓口を設立し、二国間貿易のプラットフォームとして貿易の機会を創出する。現地内需市場の開発面では、電子商取引と実体販路に合わせ活用し、台湾の良質で価格を抑えた商品の販売を促進する一方、教育、健康、医療、飲食など新興のサービス産業の輸出を推進する。
(二)人材交流:
「人」を中心とし、双方の若手専門家、学生、産業の労働力の交流と育成を進め、パートナー国との人材資源の相互補完と共有を促進する。
大学の海外分校あるいは専門クラスの開設ならびに大学における東南アジアの語学教育および地域貿易の人材育成強化を奨励する。台湾で専門性あるいは技術性のある仕事に従事している外国人労働者の雇用について、評価制度を確立し、合格者は居留年限の延長を許可する。また同時に、専門能力のある人材の双方向の交流を強化すると共に、来台申請の手続きを簡素化する。
(三)資源の共有:
文化、観光、医療、科学技術、農業、中小企業などのソフトパワーを活用して、パートナー国の生活の質向上および台湾の経済貿易発展の土台を広げていく。
医療面では、目標国と医薬についての双方間の認証、新薬、医療器材の開発協力を促進する。文化面では、テレビ・映画、ラジオ、オンラインゲーム、台湾文化のブランドをセールスする。観光面では、ASEAN、南アジアからの旅行者の台湾観光ビザの規制緩和を行う。農業面では、「台湾国際農業開発股份有限公司(株式会社)」を設立し、農産品および農業資材の輸出を強化すると共に、農業技術の指導協力を行う。
(四)地域の連携:
パートナー国との多国的および二国間の制度化した協力を拡大し、話し合いと対話を強化すると同時に、民間団体、華僑ネットワーク、第3国の力を有効的に活用し、地域の安定と繁栄を共同で促進する。
地域統合の面では、ASEANの主な貿易パートナーおよびインドと、経済協力協議(ECA)あるいは個別の経済連携項目に対する調印を積極的に図ると共に、すでに締結した二国間投資および租税協定を更新および強化する。戦略的連盟の面では、台日の公的機関および民間による協力のプラットフォーム機能を強化するなど、第三国と協力しASEAN、南アジア市場へ進出していく。
「新南向政策」は台湾の対外経済貿易戦略の重要な一環である。政府は「長期的な取り組み、多元的な展開、互利互恵」の核心的理念を堅持して、中央政府・地方自治体、民間企業と団体、台湾を支持する第三国のリソースと力を統合し、ASEAN、南アジア、ニュージーランド・オーストラリアなどの国々と協力し、地域の発展と繁栄を共同で創出する。