台湾のWHO加盟申請についての総統府発表
総統府は4月12日「2007年台湾の世界保健機関(WHO)参加推進」について邱義仁・秘書長が記者会見を主催し、黄志芳・外交部長、侯勝茂・衛生署長らも同席した。
邱・秘書長は挨拶で「今年、わが国の世界保健機関(WHO)参加には主として『3つの柱』の方法で推進していく。過去、われわれはWHO年次総会のオブザーバー参加以外にも、専門的な会議への有意義な参加も希望していた。今年も上述の方法を継続していくが、そのほかに1項目増やし、総統が 陳馮富珍(マーガレット・チャン)WHO幹事長へ『台湾』の名義でWHO加盟を正式に申請する書簡を直接送った」と明らかにした。
邱・秘書長はさらに「今年のこの訴えは、1つには国内の民意の強い要求からである。世論調査によると94.9%の台湾の国民は『WHO加盟案』の推進を支持しており、しかも『台湾』の名義としての加盟である。またに2つには立法院では過半数を超す国会議員(110名)の連署による提案で、政府の『WHO加盟案』の推進を要求しており、単に『WHO年次総会オブザーバー参加案』だけというのではない。3つには過去多年にわたって努力してきたが中国の圧力の下では順調に進展しなかった。政府はさらに1つのチャンネル、プラットフォームをふやして努力していく必要があると認識した。そのため、今年はWHO年次総会のオブザーバー参加のチャンスと有意義な参加を勝ち取る以外にも、総統がWHOの事務局長へ書簡を送り、『台湾』の名義でWHOへの正式加盟の申請を要求した」と強調した。
邱・秘書長は総統および2300万の台湾の国民を代表し、台湾の友好国や海外の友人が台湾を支持してくれることに衷心よりの謝意を述べた。
台湾は1997年より「世界保健機関(WHO)」への参加の推進を開始して以来、常にWHO年次総会オブザーバー参加を主な目標としてきた。近年では、さらに台湾の「衛生実体」の名義で国際的な支持を求めてきた。この期間中、立法院の院会ではすでに7度決議を通過させ、政府が推し進めている「WHO年次総会のオブザーバー参加案」の訴えを全面的に支持し、政府が国際的な衛生および防疫の協力に関する活動に積極的に参加することを呼びかけ促した。そのため、WHO加盟案は台湾の国民の高いコンセンサスを得、国内の超党派で支持するテーマとなっている。
しかし、残念ながら過去10年来、政府、民間共同での積極的な努力の下での「WHO年次総会のオブザーバー参加案」については、わが国の友好国および米国、日本での正式支持を獲得した以外には具体的な進展に限界があった。WHOの実質的な「有意義な参加」については、多くの友好国の熱意あふれる協力により、一定の成果はあったものの中国とWHOが2005年に署名した秘密の備忘録により台湾の参加に深刻な影響があった。現在の進展は満足のいくものではない。言い換えれば、10年来、ただ台湾が2300万人の国民の衛生安全を追求することを目的としたWHO加入推進の訴えは、国際社会がもつべき重視を得られなかったということである。
2006年5月22日にWHO年次総会は台湾が提出した「オブザーバー参加案」を再度(10回)拒否し、「有意義な参加」について得た結果も台湾の国民が期待するものではなかった。翌日(5月23日)すぐに、立法院の半数を超える110名の立法委員は連署を提出し、政府がWHOの正式加盟国の推進へと改めるよう要求した。世論もまた全面的に、国際社会の対応に失望し、政府が新しい方策を提示して、WHOへの加盟国となるのを直接推進するよう強く要求した。また、台湾シンクタンクが2007年3月に行なった最新の世論調査では、調査に応じた94.9%の台湾の国民が「台湾はWHOに加盟すべきであり、それでこそ台湾の2300万人の国民の生命と財産の安全が保障される」と認識していることが明らかになった。このことからも、WHO加盟国になることを推進するのはすでに台湾の民間および立法機関において高いコンセンサスを形成しているのである。
台湾は民主主義の法治国家であり、政府の施政は多くの民意をよりどころとする必要がある。長期にわたり、台湾の多くの民意は政府がWHO加盟国となるのを推進していくことを要求している。理由は単純明快であり、WHOの主旨も「全人類の健康(health for all)の普遍化」である。WHO加盟を推進し、台湾住民の衛生、健康の安全を確保することについてはすでに2300万人の台湾の国民に行き渡ったコンセンサスである。政府はこの民意の高い呼び声に応える必要がある。10年にわたる努力を経て、今年、陳水扁総統は台湾の2300万人の国民を代表し、マーガレット・チャンWHO事務局長に正式に書簡を送り、台湾政府は理性的な理論と実務的な方法でWHO加盟を推進し、国際社会での理解および支持を期待することにした。
台湾の国民はWHOに加盟できないため、国際医療システムの注目と協力を適時に得ることができないでいる。1998年の腸内ウイルスおよび2003年のSARSが猛威を振るった時、悲しい代償を払った。もし、当時ウイルスが引き続き拡散していたなら、その他の国の人々の健康の安全にも危害があった。グローバル化の下で国際交流は頻繁となり、「疾病はボーダレス」「防疫はいかなる漏れ穴をも許さない」が単なるスローガンだけであってはならない。WHOの全ての加盟国は具体的な行動で実践を積み重ね、台湾のWHO加盟を支持すべきである。
鳥インフルエンザ等を含むウイルス性の疾病の蔓延が予想される際、いかなる人も伝染病の脅威の恐れの中で生活するべきではなく、「衛生ボーダレス」「医療ボーダレス」の理想は国際政治の妥協の供え物であってはならない。政府も国際的な医療衛生活動に実質的に参加する必要性を深刻に受け止めている。そのため、将来台湾がWHO加盟を推進する過程において、政府は過去の一貫した理性的な理論と実務の方法に基づきWHOの実質的加盟の活動を積極的に推進し、それにより2300万人の台湾の国民の健康安全の保障を獲得することができる。
最後に全員が共同で努力し、台湾の国民は、政府が新しい方策を提示してWHO加盟を直接的に推進する心の声が世界中に伝わり、世界の人たちが人権、人道、世界的防疫の必要性等の考えに基づき、具体的な行動を取り、台湾のWHO加盟を支持し、台湾に協力し、世界的な衛生および健康に関する活動に十分に参加できるようになることを望んでいる。WHOの正式加盟国になってこそ、40余万人を含む外国籍の人を含めた台湾の全住民の健康福祉が十分に保障できるのである。
【総統府 2007年4月12日】