ごみを「黄金」に、台湾企業の開発した技術が世界をリード
中華民国(台湾)は2016年、資源リサイクル率が先進諸国に匹敵するとして、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙から「ごみ処理の天才」と称えられたが、それにとどまらず、台湾の中小企業は循環型経済に向けたイノベーションに努力、世界をリードする産業廃棄物リサイクル技術を開発した。
光宇材料株式会社(GET-Green Energy Corp., Ltd.)は半導体及び太陽エネルギー関連産業の廃棄物から高純度のシリコンパウダー並びに炭化ケイ素を取り出す技術を確立。また、環拓科技株式会社(Enrestec, Inc.)は世界で唯一の、廃棄されたゴムの分解再生技術を完成させた。
循環型経済は世界的な潮流であり、エネルギー政策も再生可能エネルギーの開発へと転換している。そんな中で問題となっていたのが太陽エネルギー関連の廃棄物処理。太陽電池の製造過程において、廃棄物と汚染された液体が大量に発生するのだという。しかし、光宇材料の技術を使えば、太陽エネルギー産業と半導体産業から毎月生まれる6,000トンあまりの廃棄物が、分離、洗浄、調節などのプロセスを経ることで、シリコンパウダー、水素ガス、炭化ケイ素、二酸化ケイ素などに生まれ変わり、リチウム電池の負極材料や機能性衣料品などに再び応用できるようになる。同社はこうした廃棄物のリサイクル率を100%に引き上げた。
一方、環拓科技は14年間、廃棄タイヤの熱分解技術と設備の開発に尽力、このほどついに世界で唯一の廃棄ゴム熱分解再生技術を確立した。廃棄タイヤを熱分解し、熱分解油、カーボンブラックなど利用可能な再生資源に生まれ変わらせる。再生されたカーボンブラックは無臭で、タイヤや印刷用インク、レーザープリンターや複写機のトナーに加えることが可能。また、環境保護意識からくる顧客の要求を満たすために再生カーボンブラック(rCB)を使用したウェットスーツは、そのエコロジーな理念によって世界のダイバーたちから強く支持されているという。同社では今後も、「資源は有限ながらクリエイティビティは無限」という循環型経済における自らの役目を果たし、顧客の期待を上回るイノベイティブなサービスを提供していきたいとしている。
環拓科技の呉俊耀総経理(社長)によれば、1トンのカーボンブラックを生産するには原油2トンが必要。一方で、廃棄されたタイヤは従来、コジェネレーション(熱併給発電)の燃料にされるだけで、同社では「もったいない」と感じていた。このため廃棄タイヤなどからカーボンブラックを取り出す技術の開発に取り組んだ。この再生カーボンブラックを1トン使用すれば、二酸化炭素の排出量を約2トン減らせるとのことで、今では世界の大手企業から注目され、増産が求められているという。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙のウェブサイトは2016年5月17日、「台湾:ごみ処理の世界的な天才(Taiwan:The World’s Geniuses of Garbage Disposal)」というタイトルで報道、ごみの埋め立て処分場が少ない中華民国(台湾)がいかにして今日の「ごみ処理の世界的な天才」に成長したのかを説明、人口がこれほど密集する国でも資源リサイクルの面では米国やドイツなど、先進国と肩を並べることが出来るのだと伝えた。
経済部(日本の経産省に相当)中小企業処は2013年に、「中小企業緑色小巨人舗輔導計画(中小企業・グリーンなリトルジャイアント指導プロジェクト)」をスタート。13日には異なる分野の企業代表を招き、これらの企業が循環型経済に向けて取り組んでいる成果を共有した。
Taiwan Today:2018年3月14日
写真提供:中央社
台湾では中小企業が循環型経済に向けて努力、世界をリードする産業廃棄物リサイクル技術を開発している。再生可能エネルギーは世界の趨勢ながら、太陽電池の製造過程では大量の廃棄物が発生する。台湾の企業はこれをリサイクルする技術を確立した。写真は広範囲に設置されたソーラーパネル。