新たな政府機関の海洋委員会が発足、蔡総統がプレート除幕式に出席
蔡英文総統は28日午前、「海洋委員会の首長任命及び玄関プレート除幕式」に出席した。海洋委員会は28日に発足した新たな政府機関で、日本の省レベルに相当する。蔡総統はあいさつの中で、海は台湾にとって最も重要な活路だと強調すると共に、「海洋法制を健全化し、生態系保護に取り組むこと」、「政策に合わせ、海洋産業を発展させること」、「海洋研究の力を強化し、海に関わる人材を育成すること」という3つの努力方向を打ち出した。蔡総統はまた、台湾に根を下ろす一方で海へと向かうことで、台湾における海洋業務をますます発展させることを求めた。
海洋関連業務は従来、22の政府機関に分散していたが、海洋政策の完全性を徹底するため、政府は海洋業務を専門に行う政府機関設置のための準備を進めてきた。作業は2004年にスタート。蔡総統は、スタートしてから2度の政権交代、3人の総統を経て28日にようやく重要な一歩を踏み出したと説明、海洋委員会の設置は台湾が海洋業務に力を注いでいくという決意であるのみならず、過去十数年来、「海は台湾にとって最も重要な活路だ」という概念が与野党共通のものであることを示すと述べた。
海洋委員会は台湾南部・高雄市内に設けられた。同北部・台北市の首都としての負担を軽減する他、南北のバランスをとっていく政策においても需要な一環であるとのこと。蔡総統はさらに、高雄市は政府の進める「新南向政策」にとっての「玄関」となる基地で、ここに設置される海洋委員会は中央と地方が協力して同政策を推進していく上で最良のパートナーになりうると期待した。「新南向政策」は東南アジア、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアの計18カ国との幅広い関係強化を目指す政策。
海洋委員会の設立は挑戦のスタートでもあるとする蔡総統は、海洋業務で取り組む3つの努力方向を打ち出した。まず、「海洋法制を健全化し、生態系保護に取り組むこと」で、蔡総統は海洋委員会に設けられる海洋保育署に言及、これは民間社会と立法院(国会)が大きな期待を抱く海洋保護メカニズムだと強調した。蔡総統は海洋委員会に対し、既存の海洋法制をさらに健全なものとし、海洋汚染の除去、生態系保護と持続可能な環境などの面で、国際社会における台湾の責任をしっかりと果たしていくことを要求した。
次に「政策に合わせ、海洋産業を発展させること」。蔡総統は、同委員会を高雄市に設置することは、海洋業務を専門とする政府機関と重要な海洋都市である高雄市という強いもの同士を1つにすることに等しく、それは地元の資源や市場など地政学的な優位性を結び付けて産業クラスターを生み出し、さらには海洋産業の発展をより大規模なものにするだろうと期待した。
最後は「海洋研究の力を強化し、海に関わる人材を育成すること」。蔡総統は、海洋委員会海洋保育署と海洋委員会海巡署(従来の行政院海岸巡防署。日本の海洋保安庁に相当)以外に、海洋委員会は国家海洋研究院の設立準備も進めると説明。将来的には海洋資源調査や基礎研究、そして最重要課題の人材の育成などを国家海洋研究院にバトンタッチし、全力でこれに取り組ませるとの考えを示した。
Taiwan Today:2018年4月30日
写真提供:中央社
蔡英文総統(左から3人目)は28日、新たな政府機関である「海洋委員会」の発足に立ち会い、「海洋法制健全化と生態系保護」、「海洋研究強化と人材育成」など3つの努力方向を打ち出した。写真は玄関プレートの除幕式。右から3人目は頼清徳行政院長。