国連が台湾のWHA取材を拒否、国際ジャーナリスト連盟が抗議

　国連（国際連合）事務局が台湾メディアへの取材許可証の発給を拒否したことを受けて、世界中のジャーナリスト60万人余りが加盟する労働組織、国際ジャーナリスト連盟（IFJ）のPhilippe Leruth会長は15日、「このようなやり方は容認できるものではない」との見解を示した。その上で、関連機関に抗議の投書を送り、国際ジャーナリストの取材の権利を尊重するよう求めるとしている。

　Philippe Leruth会長は、台湾のメディア、中央社の電話取材に対し、「もしきょう国籍に関する問題が原因でメディアへの取材許可証の発給を拒否できるなら、明日にはまた別の理由を作って取材拒否ができるようになるだろう。このようなことが続けば、権力が言論を検査して取り締まるという検閲が許されることになる」との危機感を述べた。Philippe Leruth会長はさらに、ある機関が取材許可証を発給すべきかどうかを決定する唯一の基準は、取材の申請をした記者が確かにその身分についているかどうかということだと強調した。

　台湾のメディア、中央社が計画していた今回の世界保健機関（WHO）年次総会（WHA）の取材に対し、国連事務局はベルギー時間15日、中央社へ「WHAの取材許可証の発給を拒否する」とのEメールによる通知を送った。

　第71回WHAは21日からスイス・ジュネーブで開催されるが、台湾には未だにWHOからの招待状が届いていない。中央社の記者は昨年に引き続き取材許可の申請をしたが、昨年同様、取材拒否との通知を受け取った。

　これを受けて外交部（日本の外務省に相当）は15日、中華民国の在外公館が国交樹立国や政治理念が近い国々と共に、積極的にWHOと交渉を進めていくと説明した。

Taiwan Today：２０１８年５月１６日

写真提供：中央社
　台湾は21日から始まる第71回WHAの招待状を受け取っていない。台湾のメディアの取材申請も拒否された。